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プロフェッショナルグレード パーティクルが無料に、そして、ProRes Raw対応のカラコレツールが10月末まで無料

突然ですがCinema5Dが名前を改め、CineDになりました。

あまりに急のことで驚きましたが、考えてみればCanon EOS 5D MK2の発売を起点に作られたウェブサイトというのはたくさんありました。(EOS HDもその一つ)

 

でも今の潮流は既にDSLRで始まった一眼ムービー映像からミラーレスカメラでの映像制作やYoutuberとしての創作活動に至るまで、表現の幅というのが大きく膨らんでいますし、ジンバルやドローンでの撮影も、ごくごく一般の人々が普通に楽しめる時代です。

 

そう考えるとツールという意味では映像制作のレベルは一昔前に比べると前代未聞とも言えるスピードで進化を遂げてきているのですね。

 

さて、撮影の面でも大きな変化を遂げている昨今の映像制作現場ですが、編集の方に目を向けても飛躍的な変化が、この20年ほどの間にあったと言っても良いでしょう。

 

遡ること20年前、プロフェッショナルな映画やCMでの用途でしか使われていなかったノンリニア編集という概念とシステムがようやく大衆に認知され、手の届く価格で提供されたという点ではAppleのFinal Cutの存在が大きかったと思います。

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AVIDに正面切って喧嘩を売ったファイナルカット

 

僕はその頃、丁度アメリカの映画学校を卒業する頃で、Final Cutの値段は700$くらいだったかと思いますが、友達と200$くらいずつ出し合ってライセンスを勝手に共有してました。(Appleさん、ごめんなさい)というか、そのころのFinal Cutは恐らく意図的にコピーフリーの状態になってたと思います。映画学校の友達のほとんどが海賊版というか、コピー版のライセンスを自分のマックにインストールして使ってました。

 

その頃のAppleはまだiPhoneiPodを発売する前で、このFinal Cutを起点にして、PC業界に喧嘩を売ることで存在感を誇示しようとしていたように思います。スティーブジョブスのキーノートもメインはファイナルカットでした。

 

さて、そんな懐かしい話は置いておいて、今ではBlackMagic社がものすごい勢いで映像制作の(価格面での)ハードルを下げています。 RAW撮影可能なカメラであるBMCCやBMPCC、URSAやBMPCC4Kを連続で発表し、編集面ではDaVinci Resolveという、それこそハリウッド映画業界の業界スタンダードのカラーグレーディングソフトを無料で提供するという荒技をやってのけました。最近では、低価格でHDMI4系統のチャンネルをミックス、ウェブ配信できるAtem Miniの発売も斬新だったと思います。

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4万円弱で本格的なスイッチングが可能なAtem Mini


その流れでしょうか、Davinciのライバルと言ったらAssimilate Scratchがあるのですが、昔は庶民の手には絶対届かないお値段だったのに、今では月々1万円弱で、(年間契約ならば700$くらい)使えるソフトウェアとなりました。 さらにさらに、今ならフルセットの機能を10月31日まで無料で使えます。

ダウンロードするには下のページから登録します。(クレジットカード情報は必要ありません

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assimilate ScratchのGUI

このScratch、実はProRes RAWを使ったカラーグレーディングをするためには、ファイナルカットを差し置いて最高の機能を備えています。

下の動画ででているように、ProRes RAWで ISO-ゲイン,ホワイトバランス、 そしてティントコントロールができます。(RAWファイルは普通、これらのパラメータを撮影後に変更できるのですが、ProRes RAWはこの設定をいじれるソフトがありませんでしたFinal Cut Pro Xの最新アップデートで現在はRAWデータの設定が機種限定で可能となっています。詳しくはオフィシャルサイトでご確認ください。

 

DaVinci Resolveが自社のBlackMagic RAWを推しているため、ProRes RAWには対応していないことから、ProRes RAWをこれから撮影するという方にとっては必要となりうるソフトだと言えましょう。  Sonyのα7sIIIやPanasonic のS1H、NikonのZ6、ZcamシリーズなどProRes RAW撮影可能なカメラは増えましたが、編集環境の整備という点ではまだ整ってなかった感がありましたが今回のScratchの本格的な対応によって、状況は変わってくるかもしれません。

 

カラーグレーディングの仕事を本気で考えている方なら、いくつかのソフトを使えた方が有利らしいので、この機会に試してみるのもありですね。(クレジットカート情報など、一切いらないです。登録するだけでフル機能が使えるようになります

 

そして、名前変更したCineDのサイト(英語版)ですが、このような嬉しい記事を紹介していました。

そう、VFXのソフトウェアやプラグインで有名なBorisがParticle Illusionというスタンドアローンのソフトウェアを無償で提供しています。

これはダウンロードしないと損でしょう。(僕は速攻でしました)

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Particle IllusionのGUI

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豊富なパーディクルの数々

このスタンドアローンソフトウェア、無料にもかかわらず、

  • 2500+ パーティクル プリセット
  • ハードウェアアクセラレーションによる無制限のパーティクル
  • 無制限のパーティクルエミッター
  • オーガニックな動きを表現するための調整機能を追加可能
  • アルファチャンネル付きでProRes書き出し可能
  • モーションブラー機能も内蔵
  • 解像度、8Kまで対応

 

上記のような豊富な機能を搭載しています。

 

AssimilateのScratchもBorisのParticle Illusionも名目的には今回のコロナ渦の影響で仕事が減ったクリエーター達に向けて、励ましの意味でこのようなサービスを提供していると言っています。 もちろん、それが本音なんでしょうけれども、BlackMagicが作り上げたビジネスモデル(例:DaVinci Resolveを無償提供し、一部の機能を制限し、Studioバージョンにアップグレードさせる)が少なくとも影響していないとは言えないのではないのでしょうか。

 

ダウンロードページはこちらから。

 

どちらにしても、映像制作者、クリエイターにとっては素晴らしい時代の到来だと言えます。