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Philip Bloomの徹底的なα7sIII検証 (Gerald Undoneのテストと併せて見ると完璧です)

 

 

先日、記事の中で取り上げた、僕の大好きなフィルムメーカー/ビデオグラファー/カメラレビューアー(最近は肩書きが多くて困ります)のPhilip Bloomさんはソニーのプロフェッショナル ビデオカメラ部門のアンバサダーを務めています。

 

おそらく、そんな縁もあったのでしょう、彼はα7sIIIを誰よりも先にSonyから手渡され、一ヶ月以上(6〜7週間)にわたりレビューをしたそうです。 そしてSonyからヨーロッパのα7sIIIのローンチビデオを作成してくれと頼まれたそうです。

 

ここまで読むと、客観的なレビューになりそうもないと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、そこはPhilipさん。一番冒頭に自分とSonyとの関係をはっきりと伝えています。

SonyはAtomosと共同で私に二本の映像制作を依頼してきた。一本はα7sIII単体でのサンプル動画、もう一本はAtomos Ninja Vを使ったProRes Rawのサンプル動画だ。私はその動画制作のためのお金を受け取った。 

 

もう一点、私はソニーのアンバサダーをしているがそれはプロフェッショナルビデオ部門だけの契約で、今回のようなスチルカメラに関しては、私の好きな時に、好きなブランドのカメラを、好きなようにテストして率直な意見を発言できる立場にある。今までも私はそうしてきたし、これからもそうするつもりだ。

 

Sonyからはリムジンもプライベートジェットも、プライベートジェットスキーも受け取っていない。

ちなみにPhilipさんがスチルカメラのレビューをするのは2014年のα7s以来となります。

その時に作った短編映像と今回α7sIIIでその短編映像の続編を作ったという話は前回触れてますのでそちらをご参照ください。

今回のPhilipさんのレビューは前回お伝えしたGerald Undoneさんの完璧なレビューを補完する物として、最高のものだと感じましたので、皆さんと一部をシェアしたいと思います。

Geraldさんが語っていたデュアルネイティブISOに関してや、オーバーヒートに関する再確認の部分もありますし、Philipさん独自のProRes Raw記録に関する考えなども盛り込まれています。

 目次

 

 

まず一番最初にアニマルアイオートフォーカスがないことに御冠です。

フィリップさんと言えば、とにかくレビューが長いのと(今回は70分くらい)、カメラテストに猫を登場させることで有名です。今回はα7sIIIが動画撮影時に動物の瞳オートフォーカスを使えない事に対して不満を漏らしています。(70分間の間に10回くらい同じ不満をぶちまけます)Sonyさん、動物用の瞳オートフォーカス、つけてあげてください。

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後ろの猫のポスターの目にオートフォーカスが反応しないことは残念だそうです

そして、Geraldさんがそうだったように、まず初めに結論を伝えています。(70分見る余裕のない人には助かりますね)

もし、最後までこのレビューを見る余裕のない人のために結論を先に述べると、

I love it!

カメラの技術の進化をここまで到達させた事に驚きを隠し得ない。長い時間だったが待った甲斐があったようだ。 もちろん、もう少し前にこのようなカメラ(α7sIIの後継機)が登場していれば文句はなかったが、時期が早かったなら、今回のような高機能満載という訳にはいかなかったと思うので、結果的には待って良かったと思う。

 

このカメラは私がα7sIIの後継機に期待していた全ての機能が盛り込まれているだけでなく、期待を遥かに上回る完成度を誇っている。

Philipさんが今回、このカメラに注目した3つのポイントとは?

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今回、注目した三つのポイント
  • インターナル(ボディ内部)での4K 10ビット 60P クロップなし
  • α7R IVと同等以上のビデオオートフォーカスの精度
  • 外部モニタに出力する際のHDMIに関連する問題の解決
以上が機能のアップグレードに関して私が望んだ最低限の事になる。

ローリングシャッターに関して(10:13くらいから)

今回の新しいセンサーのリードアウトスピードのおかげでローリングシャッターの歪みに関しては驚くくらいの改善を遂げた。

 

α7sIIとα7IIIとの比較を見てみよう。

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α7IIIとの比較

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α7sIIとの比較

コーデックとフレームレートについて(12:24秒くらいから)

今回、全てのフレームレート/解像度で10ビット 4:2:2でフルオートフォーカスでの記録ができるようになった。

フレームレートに関しては24Pから120Pまで幅広く撮影できる。

 

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フレームレートのオプションは幅広いです

100Pと120Pに関しては1.1倍のクロップがかかるが、他のフレームレートはフルフレームである。

(残念ながら、今回、DCI 4Kとアナモフィックモードは搭載されていない

三つのコーデックが使用可能であるが、全てMPEG4ラッピングによるものである。

オリジナルのXAVC-Sコーデックは10ビット4:2:2記録になって、ビットレートが高くなった。こちらはH264エンコーディングを使用している。

 

XAVC-HSは奇妙にも25Pと30Pモードでは使用不可能であるが、24P、50P、60P、100P、120Pでは使用可能である。こちらのビットレートはXAVC-Sより低いが、その理由はH265エンコーディングという高圧縮なコーデックを使っているからである。ビットレートは低いが圧縮効率はH264の2倍の効率なのだという事も考慮すると、(XAVC-Sと比べても)画質の劣化は少ないと言える。

 

上記の二つのコーデックはLong GOPコーデック(インターフレームコーデック)である。 つまり編集時にコンピュータに負荷のかかるコーデックと言えよう。(特にH265の方はコンピュータの馬力に依存しないと編集は大変)ProResへのトランスコーディングをして編集することをお勧めする。

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XAVC S-IのコーデックにはCFexpressカードが必要な場合も

最後のコーデック、XAVC S-Iはイントラフレームコーデックになっている。ビットレートは高く、実際のところ、Sonyの業務機であるFX9のXAVC-Iとほとんど同じだと言っても良いだろう。(ラッピングしてるのがMPEG4なのかMXFなのかの違いだけであると思う)

下記のXAVC S-IのコーデックにはCFexpressカードが必要になる事も述べられています。

  • XAVC-S-I 4K 100P/120P S&Qモード
  • XAVC-S-I HD 200/240 fps S&Qモード

V60かV90(コーデックによるそうです)のSDカードでも上記のモード以外なら全てのモードで10ビット 4:2:2記録できるという事です。

各コーデックによるフレームレートごとのビットレートは下の写真を参考にしてください。

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Now I See Part1 & Part 2について(14:52くらいから)

ローライトキングと呼ばれたオリジナルのα7sで撮影した「Now I See」は私のYoutubeチャンネルの中でも最高の再生数を数えてる。

この撮影の時はまず、適正に露出して撮影する事で高感度性能を見せた後、その映像を実際に目で見た感じの明るさに補正した映像とのカットバックで見せる事で、このカメラのノイズの少ない高感度性能を見せる事に成功した。

Sonyヨーロッパから連絡があり、α7sIIIのプロモーションビデオを作ってくれと依頼があった時に、こっちから提案したんだ。「Now I See」の続編を作ったらどうだろうってね。

続編では、夜のシーンを撮影するだけでなく、全く同じ撮影ポイントから昼のシーンと夜のシーンを実際に撮る事でオリジナルの「Now I See」のスタイルを引き継ぎながらも、α7sIIIのデイライト環境下での素晴らしい画質のデモンストレーションもできると思ったんだ。

 

撮影の模様 (18:50くらいから)

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撮影に行く前に機材の準備で写ったワンカット、二台以上のα7sIIIが準備されてます

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SmallHDのモニターを使っているようです

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噂の可変式ステップダウンフィルターアダプターも使ってますね

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今回は昼と夜をカットバックするたびに視聴者にわかりやすくするために幾つかの特徴的な背景や被写体を選んで撮影する事にしたよ。

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昼と夜のカットバック用にわかりやすいモチーフをフレームに入れ込んでます

ローライトパフォーマンスについて (20:30くらいから)

ローライトパフォーマンスはα7sIIと比べるとほとんど同じだと言える。ただし、今回は10ビット 4:2:2で記録できる。基本的には50P(彼はヨーロッパ圏なので50Pになります)を使用しないで通常の24Pでの撮影にとどめたよ。

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4K 50P ダビンチでのノイズリダクション適用

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4K 25P ダビンチでのノイズリダクション適用

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4K 25P カメラから撮って出しのまま

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4K 25P ポストプロセスでノイズリダクションとグレーディング、Youtubeの圧縮によりバンディングが出てしまっていますが、実際はクリーンだそうです。

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4K 50P カメラからの撮って出し

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1/50シャッター / F1.8 / ISO2000

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ISOを最大限まで上げる

今回、ISOを最大限に上げた時に先代のα7sIIで見られた紫色のフリンジが四隅に現れるという現象は一切なかったよ。

スローモーションについて(22:08くらいから)

このカメラはスローモーションを録画するためのモードが二つある。

最初の方法は単純に撮影のフレームレートを変える事である。24P以上で撮影する、例えば60Pだったり120Pだったりに変えるのだ。そうする事で、オーディオを同時に記録ことができるという利点がある。 このように撮影したクリップは編集時にスロー再生に変更しなければいけない、が、それはとっても簡単だ。

もう一つはS&Qモードを使う方法である。(S&Qはスロー&クイックの略)

この方法では、まず、編集時に使うであろう通常再生フレームレートを先に設定する。

その後に実際に撮影したいハイフレームレートを選択する事で音声は記録されないが、スローモーション映像がその場で生成される。

 

例えば、通常再生フレームレートを25Pにしてハイフレームレートの設定を50Pにした場合、カメラ内で50パーセントのスローモーションの映像を作り出してくれるという事になる。

 

もちろん、通常再生フレームレートより遅いフレームレートを選択する事もできる。 例えば1フレーム/秒を選んだ場合はタイムラプス映像を生成してくれるだろう。 しかし、タイムラプスを撮影する場合はスチルモードで撮影した方が、シャッタースピードの柔軟性が高まるため、このモードでのタイムラプスはお勧めしない。

クロップモードによる撮影に関して(23:15くらいから)

最近のソニーのα7、フルフレームカメラ(α7III、α7R III、α7R IV)を使っていて、今回使いたくなったモードがある。それはAPS-Cモードにクロップして撮影する事だ。一瞬のうちに1.5倍の焦点距離を稼いで映像にパンチインできるというのは撮影していて便利な機能である。

 

残念ながら、このカメラにクロップ撮影の機能はない。 既に12メガピクセルという少ない画素数から4Kを作り出しているのだから、しょうがないとしか言えない。 無理にパンチインした場合、実際の画像は4K以下の画素数になってしまう。

HDモードではパンチインは可能である。

Philipさんによると今回の撮影でS&Qモードはほとんど使わなかったという事です。なぜなら画質のクオリティが通常の120P撮影と比べて目に見えて素晴らしいとは言い難かったと述べています。

NTSCとPALモードに関して(30:00くらいから)

今回、使ってみて私が気に入った機能の一つにNTSCとPALモードを簡単に切り替えられるという点がある。この機種以前のα7シリーズはモードを切り替えようとするとカードのフォーマットが必要になっていた。

 

また、再生するクリップもNTSCモードではPALのクリップは再生できなかったりと、何かと不便が多かったが、今回それらの不便は全て解消された。

HD 240Pでの撮影時はS&Qモードにするしか方法がない

S&QモードにしないとHDでの240Pは撮影できない。そしてCFexpress Card Type Aが必要になる。(※XAVC S-I HDモードの低クオリティフォーマットでならSDカードでも記録可能

 

デュアルカードスロットはSDカードとCFexpress Card Type Aの両方に対応している。 正直、デュアルカードスロットで違うタイプのメディアをサポートするタイプはあまり好きではない(ここではR5の用なカメラを指しているものと考えます)

 

4K撮影時に1080Pのプロキシを同時録画する事も可能で、プロキシの方も10ビットになる。

 

話を戻して、200/240Pでの撮影はクオリティ的にどうかと言うと、(31:40秒くらいから)若干映像はソフトになるけれど、十分に使えるレベルだと言える。

このクラスのカメラで可能な240Pとしてはベストな画質ではないかと思う。なんと言ってもオートフォーカスがオンの状態で撮影できるのは素晴らしい。(ただし、動物の瞳オートフォーカスは使用できない)

メニューに関して(ここはGerald Undoneさんとほとんど同じ内容になるので基本、割愛させていただきます)

(33:12秒あたりから)メニューがタッチスクリーンなのは素晴らしいが、ライブビューモードで設定変更をしたい時にタッチスクリーンを使用できないのは少し残念である。キャノンやBlackMagicのカメラはこう言った点では素晴らしいと思う。見習って欲しい。

 

クイックファンクション メニューに限ってはタッチスクリーンで操作可能だ。

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クイックファンクションメニューはタッチスクリーン操作可能

ノイズリダクションについて(34:00くらいから)

このカメラのあまり気に入らない点として、ノイズリダクションをOFFにできないことがある。 ISOを高めに設定していくと、ノイズリダクションの効きが強力になることがあった。 そのため、ビーチのシーンでのナイトショットで使えなかったカットがたくさんある。

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ISO 80000で撮影したビーチの映像

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上の画像はノイズリダクションの状態を300%に拡大して見せている。

 

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実際にかなりの高感度ISOを使わなければいけなかったのだが、その主な理由はカメラにあるわけではなく、環境によるものが大きかった。コロナ渦の中、ビーチの照明はほとんど灯っていなかった。オリジナルのNow I Seeの時とは大違いだったんだ。

 

オリジナルのバージョンがHDだったのもノイズが目立たなかった理由の一つだと思う。 もちろん、大事なこととして、適正露出で録画できているかどうかもノイズの状態に影響を与えている。

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上の写真はオリジナルのNow I Seeの時の照明の状態です。見比べるとどれだけ暗かったがわかります。

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 ProRes RAW録画に関して(34:50くらいから)

α7sIIIの特別な機能として16ビットのRAWシグナルをHDMI経由で出力することが可能になった点である。 今回、ビーチのシーンでRAWの撮影をする予定はなかったのだが、ついでに回して見たいくつかのショットでRAWの映像と内部記録した映像の違いをノイズの観点から比べて見たいと思う。

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ノイズサンプル カメラ内での記録 ISO 80000

夜のシーンの撮影時、環境のせいもあり、ISOを80000まで上げる必要があった。 その時に偶然録画したProRes RAWの映像と比べてみるとノイズリダクションがかかってない分、初見ではRAW記録の方がノイズが乗っていることが容易にわかるかと思う。

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ノイズサンプル ProRes RAW PQモード表示 ISO 80000

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ノイズサンプル ProRes RAW SLOG3 S-GAMUT 3 CINEモード表示 ISO 80000

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400%拡大時のRAW記録と内部記録のノイズパターンの比較

しかし、RAW記録した場合のノイズ除去は実はノイズパターンさえ把握してしまえば簡単にできる。カメラ内記録でノイズリダクションがかかっている映像よりクリーンにすることが可能である。

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RAW記録したものをNEAT VIDEOでノイズリダクションをかけ、グレーディング

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ProRes RAWノイズリダクション後(左)とオリジナル(右)

夜間での撮影にRAW記録でのノイズ除去が有効だと判断した私たちは再度、日を改めてRAWでの夜のシーンの記録を試みた。結果的にはNow I See Part 2の夜間の映像のほとんどがRAW記録したものとなった。

これはSonyにはチクらないでくれ。君と僕だけで共有する情報だ。

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極端な高感度ISOではRAW記録がノイズに有効とわかり、再撮影する様子

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ProRes RAW SLOG3 S-GAMUT 3 CINEモード表示 ISO80000

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NEAT VIDEOでノイズ除去しグレーディング

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カメラ内記録した映像

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ProRes RAW記録した映像

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NEAT VIDEOでノイズ除去した映像

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NEAT VIDEOでノイズ除去後にカラーグレーディング

ここに出てくるNeat Videoというノイズ除去のプラグインに関しては僕がCanon Eos Mでマジッククランタン RAW記録した時に紹介してますので、時間のある方は下の記事をどうぞ。

ボディ構造に関して (37:30くらいから)

フルサイズHDMIが搭載された。これは素晴らしい。 私はマイクロHDMIが大っ嫌いなのだ。私の持っている大型ボディのFuji GFX100がマイクロHDMIを搭載しているのに嫌悪感を感じていた。

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大型サイズのFujiのGFX100はマイクロHDMI搭載

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Sony α7sIIIのフルHDMIポート

HDMIプロテクターが同梱されているのは良い事だが、これをつけるとフリップアウトスクリーンの画像をセルフィーモードの時にブロックしてしまう。

しかし、HDMIプロテクターは大きめで太めのHDMIケーブルを接続するときはとても有効なので、必ずつけることをお勧めする。

(PhilipさんはSmallrigのA7R IVのケージを着けて付属のものとは違うケーブルクランプを使ったみたいですが、その場合はフリップスクリーンの視聴にHDMIケーブルの干渉はなかったそうです

 

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付属のHDMIプロテクターだと、外部モニタ接続時はセルフィーモードでの画像確認は難しそう

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SmallRIgのα7R IVのケージは問題なく使えそう

 

マイク端子とヘッドホンジャックがついているが、ヘッドフォンジャックをつけた時は端子とケーブルがスクリーンの回転、モニタリングの邪魔になる。

 

フリップスクリーンは回転した瞬間に画面が上下逆に自動に切り替わるようになっているが、これはマニュアルで切り替わるようにした方が良いと思う。

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フリップスクリーンは自動で画面表示が上下に切り替わるようになっている

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Mモードの上に動画モードが配置されているのはとても便利になった点である

トップシューは秀逸で、ソニーの対応機器を接続する事で、ケーブル接続なしでの音声入力機器を直接接続可能である。 

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トップシューはソニーバイス専用に多機能を追加できるようになっている

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コールドシューとして通常のマイクのマウントも可能

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Sonyのワイヤレスマイクシステムを直付けした様子

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ECM-B1Mを直付けした様子

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XLR-K3Mを直付けした様子 (4チャンネル録音可能になる)

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XLR-K3Mではファントム電源対応、直感的なレベルコントロールも可能

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4チャンネルのオーディオレベルが表示されている

IBISのVlogモードでの実験 (42:16くらいから、実際にご覧ください)

IBISはアクティブモードにすることで、実際のセンサーでの取り込み部分を1.1倍にクロップし、かなりの揺れを抑える事に成功している。

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VOIGTLANDER 10mmを取り付けた様子

VOIGTLANDER 10mmのようなマニュアルレンズをつけた場合は設定の中でレンズの焦点距離をカメラに教えてあげる事で、手振れ補正は適正に反映される。

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マニュアルレンズの場合は焦点距離の入力が必要

ジャイロスコピック データについて(44:51くらいから)

プロフェッショナルラインのFX9と同じで、α7sIIIはジャイロスコピック データを記録している。(4K 100P/120P & HD 240Pでは記録されない)

フリーソフトウェアであるCatalyst Browsetを使う事によってこのデータを利用して映像の手ぶれ補正を行うことができる。

下の映像はFX9で録画した動画をCatalyst Broswerを使ってジャイロスコピックデータを解析してスタビライズする工程を見せています( 1:25秒くらいから)クロップはしますが、スムーズな補正がかかっているのがわかります。

(本編映像45:23くらいから)FX9の映像をジャイロスコピックデータをもとにスタビライズした映像とスタビライズする前の映像をお見せしよう。

 

この方法は編集ソフトのスタビライジング機能を使う方法より、より正確で、自然な補正をかけることができる。なぜなら、既に画面の揺れに対するメタデータがあり、そのデータを利用して補正をかけるからであり、編集ソフトのようにあてずっぽの推測によって補正をかけるわけではないからである。

 

もちろん、イメージはクロップされる事になるが、どの程度のクロップになるかは、どの程度強力な補正を掛けたいかというニーズに完全に依存する。

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Catalyst Browserのインターフェイス

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手ぶれ補正を効かせるほど、クロップ率は高くなる

録画時間制限とオーバーヒートの問題について(46:17くらいから)

録画時間制限はない。

連続記録しながらSDカードをホットスワップすることも可能である。

 

オーバーヒートに関してはどうだろう。 Sonyのカメラはオーバーヒートの問題を抱えた過去があり、その方面に関してはあまり評判はよくなかった。

3年ほど前からオートパワーオフ機能の設定をオンかオフに切り替え可能にする事によって、かなりの改善が見られたことも事実である。

 

このカメラはオーバーヒートするだろうか? 今、この問題が注目されていることは承知している。

 

EOS R5がオーバーヒートすることはいろんな方面から伝え聞いているが、残念ながら、R5が手元にないため、その事に関してはコメントを控えたい(今は手にしてます。そして、直射日光下でのテストをα7sIIIと一緒にすることを約束しています

 

正直、このテストを始めてから、少し没頭してしまい、気がついたら数日間もオーバーヒートのテストをするはめになった。

 

今回のテストではHDMI出力オンの時とオフにした両方でも計測している。

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オーバーヒートテストの様子

オーバーヒートのテストをする前までに何十時間もの撮影を数週間にわたって行ってきていた。Now I see Part 2の撮影も、Atomosとのコラボで作った映像も全てこなし、一度もオーバーヒートしたことはなかった。温度警告の表示さえ一度も見なかった。

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摂氏27°でのテストではXAVCS-Iモードで4K 50Pで問題は全くなかった

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XAVC HS 4K 100P S&Qは摂氏40°の気温で一時間ほど記録できた

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オーバーヒートした後、5分のクールダウンをしただけで、同じ温度で25分追加で撮影できた

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摂氏45°の温度の中、XAVC S-Iでは4k 120 FPS S&Qモードで24分分記録できた。

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24分の120FPS S&Qは24Pに換算すると2時間/30Pに換算すると96分のスローモーションになる

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(オーバーヒート後)同じ条件下で11分追加で記録できた

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S&Qモードのスローモーション撮影を摂氏25°で行ったところ、約60分記録できた

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XAVC S-I 4Kは12時間連続記録をしても全く問題なかった(気温は写真参照)

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今回のテストで10テラバイトの動画を記録した事になる

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オーバーヒートしたのは極限の状態に追いやった時のみだった

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記録できるようになるまでのリカバリータイムは常にとても短かった

警告表示を表示させるのに成功したのはかなり過酷な状態にカメラを意図的に晒した時のみであった。

オートフォーカスに関して(51:15くらいから)

オートフォーカスはとても効果的に機能していた。

 

残念ながらFX9に搭載されていたFace Only(顔のみ認識)とFace Priority(顔優先)モードは搭載されなかった。

 

まだこのことを伝えてなかったとしたら、是非このことだけは伝えておきたい。

動物用の瞳オートフォーカスは動画モードでは採用されなかった。私の愛猫は瞳オートフォーカスを受けるほど重要ではないということだ。とても悲しい。

 

それに比べて、Canon EOS R5の動物用瞳オートフォーカスはファンタスティックだ。

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Sonyに動物用瞳オートフォーカスをつけるための嘆願書と同意を求める署名運動開始

Sonyさん、動物用、瞳オートフォーカス、つけてあげてください。

 

今まで、何千回も繰り返し言ってきたことだが、ビデオのオートフォーカス機能はプロフェッショナルな機能として、無視されるべきではない。アマチュアの使うものとして卑下する必要もない。 なぜなら、私自身がキャノンの1DX MK2の時代からオートフォーカスを自分のプロフェッショナルなプロジェクトに積極的に取り入れてきたからだ。

 

どのような機能でも、狙ったショットを望んだ形で撮影するために必要とされるなら、躊躇せず使うべきである。

 

オートフォーカスは単に性能がよければいいというわけではない。こればっかりは信頼性があり、確実に頼ることのできる機能でなければならない。そして私はα7sIIIのオートフォーカスを完全に信頼している。

 

(53:50秒くらいから)タッチトラッキングモードに関しては特別に称賛する必要があるだろう。Now I See Part 2の撮影ではこの機能を多用した。この機能はあまりにも簡単すぎて正確だ。

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タッチトラッキングモードの画面

オートフォーカスの設定は常に状況に応じて変える必要があることは知っておいて欲しい。何も工夫しないで、オートフォーカスが常にベストな結果をもたらしてくれるわけではないのだ。

 

Sensitivity(どれくらい敏感に反応するか)とSpeed(どれくらい早く反応するか)の設定は常に調整するべきで、そうする事によって完璧なショットが撮れるはずである。

 

α7sIIからα7sIIIの進化でオートフォーカスは「(ビデオでは)全く使えない」から「驚愕の信頼性」へと進化を遂げた。

外部モニタを接続した場合のメニュー表示をオンにした時に本体のディスプレイがオフになる点はGerald Undoneさんが指摘してますので割愛します。

もちろん、私はマニュアルフォーカスも多用するが、残念ながら、Sonyのレンズのほとんどがフォーカス バイ ワイア方式なため、正確なフォーカス送りが難しい。

 

もう一点、外部モニタ出力時にマニュアルフォーカスモードで撮影している時はパンチインしてフォーカスをチェックするのは録画前か録画後かのどちらかしか選べない。録画中にパンチインできるようにファームウェアの改善を要望したい。

RAW記録に関して(59:40くらいから)

今回、SonyとAtomosからProRes RAW記録のプロモーションビデオの撮影を依頼された。今回の12ビットでのRAW記録はとても素晴らしい。特にProRes RAWのRAWとしての実際のISOやホワイトバランスの制御がついに可能になったから、可能性は膨らむ。

ここでPhilipさんはAssimilate Scratchの事を指しています。(ビデオではソフトの名前は公表してませんが) 今、このソフトは10月末まで無料でライセンスを使用できます。発売開始したら速攻で試してみるのもありでしょうね。

他に語るべき点、デュアルネイティブISOなど(1:07:04くらいから)

ピクチャープロファイルについて少し述べておこう。今回、ついに10ビット記録に対応した事で、SLOG3での撮影時に8ビット記録では得られなかったグレーディングの幅が得られるようになった。

 

私の所有するFX9とのマッチングも容易で正確になった。

実際に今回、FX9とのマルチカメラ撮影もテストしたがカラーは完璧にマッチングした。

 

残念な事にS-Cinetoneは今回搭載されなかった。もし、我々が一緒に声を大にしてこのプロファイルの搭載を訴えれば、Sonyファームウェアアップデートで応えてくれるかも知れない。

 

SLOG3でのBase ISOは640で、先代のモデルに比べると低い設定となっている。 私の記憶では初代がISO 3200、マーク2がISO 2000だったので、かなり低くなったと言える。拡張ISOレンジを使えばさらBase ISOを下げることも可能だ。でもダイナミックレンジはその分狭くなるだろう。

 

とても興味深い事に、私の良き友であるGerald Undoneが彼のレビューでデュアルネイティブISOの可能性を示唆した。 ISO 640/ISO 16000のデュアルだと伝えているので、一応テストしてみた。(動画1:08:29くらいから要チェックです

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カメラ内記録 ISO 12,800 拡大400%

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カメラ内記録 ISO 16,000 拡大400%

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ProRes RAW記録 ISO 12,800 拡大400%

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ProRes RAW記録 ISO 16,000 拡大400%

Geraldと同じようにノイズリダクションの可能性を考慮してRAW記録でも撮影してノイズレベルを比較したが、両方のテストで明らかにISO16,000でノイズが激減し、クリーンな映像になっている。

 

Sonyに問い合わせたところ、ディアルネイティブISOに関しては否定されたが、なぜ、このような現象になるのかの説明は受けることはなかった。

 

なお、Sonyによると出荷モデルに関してはこのノイズの変化が起こるISOが若干シフトするだろうとのことだった。(例えば16,000の代わりに12,800でノイズレベルが変わるとか?)

 

このノイズレベルの変化はSLOG2とSLOG3のカラープロファイルでの撮影時のみ起こる現象である。

 

最後にマイナーな問題ですが、スマホのアプリとの連携は若干まだ発展途上だと付け加えながら、Zcamのアプリとの連携を見習うべきと締めくくっています。

 

さあ、いかがでしたか? まだ、実機が届くまでには2ヶ月ありますが、

何を買うべきか(外部レコーダー?マイク?バッテリー?)

編集環境は何を考慮するべきか(ProRes RAWならScratchで試してみるべきですね)

色々と想像力を沸かせてくれるレビューですね。

また、ファームウェアアップデートでSonyにどのような点を望むのかという部分がクリアに示されていて参考になります。 私たちユーザーがしっかりとメーカーに要望を伝えることでより良い環境を構築できるだろうと考えます。動物用瞳オートフォーカスはどうでも良いですが、外部モニタ接続時の利便性や、S-Cinetoneの搭載、アプリとの連携等、Sonyさんにはしっかりとユーザーのフィードバックを聞いて対応する柔軟性を持って欲しいものです。

 

※オーバーヒートに関しては進展がありまして、数あるレビュアーの中でもたった二人だけ、簡単にオーバーヒートすると結論づけたうちの一人がPhilipさんに是非炎天下での直射日光を受けた状態でのテストを行なってくれと言っています。 Philipさんは承諾した模様で、EOS R5と直射日光下でテストし、結果を発表すると伝えています。