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ブログを更新するのは久しぶりになります。 この期間、α7S IIIを仕事でバリバリに使い、改めてこのカメラのポテンシャルの高さを痛感いたしました。 時間が許せば、作例を含めて、このカメラの何がそんなに凄いのか、お話をしたいと思っておりますが、今回は、全く別の話になります。
そうです、みんなが喋っている、しゃべっていない人はいないくらい話題になっているSonyのフラッグシップ機 α1のお話になります。
正直、このカメラが発表された時は、FX6の価格とほぼ同じなことから、「Sonyさん、それはちょっとないんじゃない?」と思いました。 発表されてすぐに、CanonのR5と比較する人たちが多かったのですが、この価格帯だと、1DX MKIII、あるいはその後継機となりうるRFマウントのフラッグシップ機(R1になるとの噂)と比較されるべき機種であると思っています。
SONYがFX6をついに投入、KOMODO、C70との三つ巴になるか? - cinemagear 映像制作機材info
いつもの通り、Gerald Undoneさんのレビューを紹介いたします。
GeraldさんはSonyのα7S IIIのレビューを徹底的にしたことから、Youtube界隈でカメラのレビューといえばこの人、というポジションを確立しましたが、
今回は残念ながら3日程度しかカメラを試す時間がなかったため、とてもコアな、僕のようなカメラおたくしか興味のないような部分しかレビューできなかったと冒頭で伝えています。
目次
- 8Kはオーバーヒートするのか?
- 記録モード別のバッテリーの持ち
- 解像度とノイズレベルに関するお話
- Sonyのα7S IIIと比較した場合の一番の優位点は低いISOで撮影した場合のノイズレベルの低さである。
- 色の再現性
- S-Cinetone
- α7S IIIの頃から改善していない点
- ローリングシャッター
- ダイナミックレンジ
- オートフォーカステスト
- ボディ
- 音声
- Gerald Undoneの結論
8Kはオーバーヒートするのか?
Geraldさんはカナダの関税の関係でカメラが届くのが遅かったため、今回のレビューはGeraldさんが得意な分野だけに絞って、残りの部分は他の人に任せよう、という判断をしたようです。
まずはこのカメラの一番の売り?である8K映像を30Pで10ビット 4:2:0での連続記録時間をテストしています。 CanonのR5が熱問題の処理で大バッシングを受けたことから、今回Sonyがどのような対応をしているのか気になるところではあります。
8K映像記録モードはオーバーヒートするのか? 答えは、最終的にはオーバーヒートする、だからイェスだ。 今回、8K映像の記録を5回テストしてみて、平均で(オーバーヒートするまで)1時間19分の記録が可能だった。
テストは摂氏23度の環境で行なった。カメラメニューから、自動電源OFF温度の設定を「高」にしての実験であった。
実験では200Mbit/秒と400Mbit/秒の両方、そして24Pと30Pの両方を試している。 そして、USBでの給電時と、そうでない時とも区別して実験している。面白いことに、USBでの給電時の方がオーバーヒートするまでの時間が短かった。USB給電をしながらの8Kの連続記録は58分であった。
もう一つ、録画前にカメラの操作をしている時間は、8Kの連続記録時間に一切含まれないことも付け加えておこう。(CanonのR5では、メニュー操作だけをしている時間もオーバーヒートするまでの時間に含まれていたことを思い出してほしい)←これはローンチ時の話で、ファームウェアで改善はしている模様です。
R5と比較した場合、という話を続けるならば、オーバーヒートした後のリカバリーの時間も比較にならないほど早かった。例をあげたい、私は実験で20分の連続記録後に電源を1分間0FFにして、また電源を入れて20分記録するという動作を繰り返してみた。結果3時間以上の記録を問題なく続けることができたことを伝えたい。(実験自体は3時間で終えたが、その理由は用意したバッテリー2つを使い切ったためであり、実際にはもっと長く記録できた可能性がある。実際、温度が上がったという警告表示は一度も出なかった)
カメラ自体は記録してない時にも(電源ONの状態で)しっかりとクールダウンしていることも確認できた。次のカットの撮影準備をする間に、クールダウン完了している可能性はとても高いと感じている。
私の実験では、8Kで1時間15分記録した後、すぐに電源を切ってバッテリーとSDカードの交換をしたのだが、その後、90秒ほどのインターバルを置いて撮影を開始したところ、温度警告の表示が出るまで24分間連続で記録することができた。
また、オーバーヒートした後に、電源を切り、SDカードとバッテリーを取り除いた場合、5分間放置しておけば、しっかりと80分の8K記録時間が確保できることも確認した。
テストの総合的な結論として、温度調整のできる環境で撮影する場合は1時間から1時間半程度の連続記録は問題なくできると思って大丈夫だ。
ダミーバッテリーを使った場合は更に記録時間が延ばせることも付け加えておきたい。 Vマウントバッテリーにダミーバッテリーを使って録画した結果、(USB給電とは真逆の結果として)3時間以上連続記録ができることを確認した。この結果はダミーバッテリーが放熱の手助けをしていることを示している。 今回はVマウントバッテリーが空になるまで記録した結果しかわからないが、実際には3時間を超えて、ほぼ無限に8K映像の連続記録が可能だと結論づけて問題ないだろう。
もちろん、環境的な要因を全く無視することはできない。 環境温度が高い場合はパフォーマンスは比例して悪くなる可能性は十分にある。残念ながらカナダは今は冬なので、そのテストは今回は割愛させていただく。
記録モード別のバッテリーの持ち
僕がこのカメラの発表を最初に聞いた時に、スーパー35クロップモードでの4Kはスーパーサンプルされた映像なのでとても綺麗になるとは思いましたが、フルフレームモードでの4Kはピクセルビニングになるため、α7S IIIに軍配が上がるであろうと予測しました。
結果はそうでもないようです。まずは、バッテリーの持ちに関してGeraldさんは説明をしています。
まず最初に、フルフレーム4Kとスーパー35クロップモードでの4K記録はオーバーヒート問題とはほとんど縁がないということをお伝えしておきたい。 私の実験では両方のモードで4K/60P記録を2時間以上連続で、バッテリー容量がなくなるまで問題なく記録できた。 8K記録時の80分ほどの連続記録時間も、バッテリーがなくなる時間とほぼほぼ比例していることを付け加えておきたい。(8K記録時にバッテリー消費は30パーセントほど早くなる)
ふむふむ、8K記録をした場合でも、オーバーヒートするまで記録するとバッテリーが尽き果ててしまうのですね。 バッテリー交換を目安に5分ほど休憩すれば8K記録は連続でできるということですね。 ちなみに、α1でもNP-FZ100というα7S IIIと同じバッテリーが使われていて、バッテリーの持ちの良さは既に証明されていますね。
私はCanon R5のレビューで、かなり辛辣な事を言ったかもしれない。(8K記録時に)オーバーヒートした後のリカバリーにかかる時間の長さと、(録画しない時間も含めた)たった30分の8K記録時間に呆れてしまったからである。実際にはオーバーヒートしていないかもしれない、にも関わらずである。 Canon R5のマーケティング時にヘッドラインとして8Kの動画記録が使われたわけだが、本来ならば素晴らしい静止画撮影の機能にフォーカスを当てた宣伝をするべきであった。 今回のα1にも似たような傾向はある。実際に写真の機能が優先的に語られておかしくない性能ではあるが、8Kでの動画記録が大々的に宣伝されている。 ただし、α1に関しては誇大広告とまではいかないと思う。動画機能によく課せられる、30分の記録時間制限も特になく、R5より$2600(30万円くらい)値段が高いということ以外は文句のつけようもない。
解像度とノイズレベルに関するお話
4K記録の話に話題を移そう。 4K記録では、APS-C S35モードで記録する場合はスーパーサンプルされた映像を記録可能となっている。 そしてフルフレーム4K記録も可能だがピクセルビニングでの記録となっている。そこで、α1の各種記録モードでの画質をα7S IIIと比較してみた。
まずはα1の8Kモードとα7S IIIの4Kモードを比較した場合、8Kモードの方が圧倒的に解像感が高いことが一眼でわかる。 8Kの画質を200倍にズームアウトした時の解像感が、α7S IIIの4K画質(100%)と同等である。これは驚く事実ではないであろう。
そして5.8KからオーバーサンプルされたAPS-Cモードでの4Kの画質はα7S IIIより若干シャープな印象を受けるばかりでなく、モアレなども少ないことが判った。ただし、ノイズのレベルはα1の方が若干高いようである。1.5倍のクロップの影響であろう。
ビクセルビニングされたフルフレーム4Kはどうだろう? 驚いたことに、私の目で確認した限りでは、α7S IIIの4K記録時と画質はほとんど一緒に見えた。そして、ノイズレベルはα7S IIIよりも低いことがわかった。 ビニングのアルゴリズムが優秀なせいか、エイリアス、モアレ、色ノイズの現象を抑え込んでいて、α7S IIIと比べて全く遜色のないレベルだと言える。 そう考えると、(動画機として考えた場合)α1は基本的にはα7S IIIに8K記録モードが追加されたものだと考えるとわかりやすいのかもしれない。
α1の4K記録時のコーデック、ビットレート、ビット深度、電源消費量はα7S IIIと全く一緒である。なので、メディアへの記録容量もメディアの書き込みスピードの基準も全く一緒となる。
8K記録時のコーデックはH265記録で4:2:0でのクロマ サブサンプリングになり、24Pと30Pからフレームレートを選択可能で、10ビットでの記録が可能であり、200Mbit/秒か400Mbit/秒の選択が可能である。実は、8Kモードの映像はV60のSDカードで問題なく記録可能である。CFexpressカードやV90のSDカードがいらないということを強調して伝えておきたい。
200Mbpsと400Mbpsの記録モードを比較した場合、私の目で確認可能な違いが特になかったことも伝えておきたい。
HDMI出力時の4K映像の画質であるが、カメラ内での記録と基本的には一緒になる。フルフレームの4Kを記録する場合はHDMI出力時もピクセルビニングされた映像が出力されるというわけである。
最近のSonyのカメラに搭載される機能となった、RAW出力もしっかりと装備されている。
Sonyのα7S IIIと比較した場合の一番の優位点は低いISOで撮影した場合のノイズレベルの低さである。
α7S IIIと比較した場合のノイズレベルはS-Log3でISO 12800になるまで、常にα1の方がノイズレベルは低かった。デュアルISOの回路が切り替わるISO 12800からのノイズレベルはα7S IIIの方がノイズは少なかったが、それでもα1のノイズレベル自体はかなり少ない方で、他社のカメラと比較していたら圧倒していたであろう。
もし、撮影環境でISO5000から8000くらいまでを頻繁に使うのならば、間違いなくα1の方がノイズ パフォーマンスは優れていると言える。
α1のベースISOが800なのに対して、α7S IIIのベースISOが640だということも違いの原因であると思う。
ちなみにα1のデュアルISOはS-Log3撮影時にISO 4000で切り替わることを確認している。(α7 IIIの挙動に似ているが、更にクリーンなイメージを記録できると思って欲しい)
一応、同じように高画素数を誇るα7R IVとのノイズレベルの比較を参考程度にしてみたが、どのISOでもα1が圧倒的にクリーンなイメージを作り出していることが確認できた。
色の再現性
色の再現性という意味で見た場合、α1はSonyのカメラの中で、もっとも素晴らしい色再現を実現する機種であると言える。α7S IIIのレビューの中で色再現に関しては、若干グリーンに色がシフトするので、マゼンタ方向にスキントーンを補正する必要があると伝えた。 FX6はその傾向を補正した色再現をしていたが、その代わり、ホワイトバランスの設定のしにくい機種であると伝えた記憶がある。α1はこの2機種の良さをしっかりと引き継いでいる。α7S IIIのホワイトバランスのしやすさと、FX6の色再現の良さを兼ね備えている。
S-Cinetone
今回、Sonyはα1にS-Cinetoneを搭載してきた。デフォルトではピクチャプロファイル11がS-Cinetoneとなっている。カメラからの撮って出しで直ぐに使える素材が欲しい場合はこのプロファイルを使うことを強くお勧めする。
ここで、α7S IIIを絶賛して複数台所有している私の立場から一言、言わせて欲しいことがある。S-Cinetoneはソフトウェア上で付け加えることが容易に可能なものであることは誰の目にも明らかである。シネマカメラや、α1などのカメラにこのプロファイルを搭載することは素晴らしいことであるが、動画撮影に特化して作られたα7S IIIにもこの機能を搭載するべきではないだろうか? ハードウェア上で値段相応の差別化を図ることにはある程度の理解は示すが、ソフトウェアでの差別化を図ることには疑問を呈したい。 Sonyへ、このYoutubeビデオを見てるなら、α7S IIIへのS-Cinetoneの搭載を真剣に検討するべきだと提言する。
まあ、このビデオをSonyは確実に見てるでしょうから、是非とも真剣に考えていただきたいものです。 それまでは、α7S IIIのユーザーの皆さんは下の記事の設定で、S-Cinetone気分を味わいましょう。
α1のメニューとインターフェイスはα7S IIIとほぼほぼ一緒だと言える。 少しだけ追加された部分もあって、その中で私のお気に入りを紹介したい。それはカメラの電源がオフになっている時にシャッターを閉じるよう設定できることである。 センサーにゴミが付着しやすい構造を考えると、この機能はとても便利なものと言えるだろう。
α7S IIIの頃から改善していない点
HDMI出力時に、スクリーンの情報を表示するように設定した場合、カメラのモニターがブラックアウトする点、メモリー読み出しモードの時にカスタムホワイトバランスの設定ができない点は是非とも改善していただきたいポイントであると言える。
ローリングシャッター
α1のローリングシャッターによる歪みに関しては、とても良くコントロールされているという感想を持った。 これだけの高画素数を誇るセンサーでは通常、ローリングシャッターの歪みが顕著に現れる傾向が強かったが、α1では(8Kモードで)歪みが抑えられているだけでなく、4K記録モードでのローリングシャッターの歪みはα7S IIIと匹敵する。(とても良い、ということです)
8K記録時のローリングシャッターの歪みは、他のブランドのカメラの歪みと比べても、かなり優秀であると断言できる。
ダイナミックレンジ
α7S IIIのダイナミックレンジの広さを称賛した記憶があるが、その時のダイナミックレンジはS-Log3記録時で13ストップであった。この数値は当時流通していたシネマカメラと比較しても、遜色ないダイナミックレンジである。 今回、DSCラボに借りているダイナミックレンジ計測器を再び持ち出して、α1のダイナミックレンジを計測したところ、α7S IIIより多い、13.2ストップを計測した。 S/N比(シグナルとノイズの比率)は2であった。 結果にショックを受けた私は数回同じテストを繰り返したが、結果は一緒であった。
オートフォーカステスト
もちろん、Sonyのカメラのオートフォーカス機能は素晴らしく、α7S IIIは新しいスタンダードを築いたと思っているが、α1の8K記録時のオートフォーカスも例外ではなかった。8K & 4K記録時のオートフォーカスの精度とスピードはα7S IIIと同等だと言って良い。
ボディ
ボディの大きさやグリップの太さはα7S IIIにとても似ているが、スクリーンに関してはフリップアウトスクリーンではなく、ティルト式となっている。 ボタンやダイヤルに関してはα9のボタンとダイヤルレイアウトに似ていて、左側にポップダイヤルを装備している。 ボディのサイズ、ボタンレイアウト、など全体の構成に特に不満はなく、とてもバランスが良い。
ボディの側面にはいくつかのポートが用意されている。(ヘッドフォン端子、USB-C端子、フルサイズHDMI端子 など) 一つ、残念な点はα7S III用のケージは入出力端子の配置が違うことから、流用はしにくいという点であろう。
音声
α7S IIIと比べて、内臓マイクロフォンで記録した音声に違いがあることに気がついた。(動画12:05から、聞きながら比較してみてください)
オーディオメニューや、音声録音機能、入出力系統などはα7S IIIと全く一緒であるため、説明は割愛させていただく。
Gerald Undoneの結論
私がカメラを預かっていた限られた期間内にテストできたことを紹介してきた。正直、このカメラは写真の機能が盛り沢山であり、その機能に関して、このレビューで触れることはできなかった。
この、かなり技術的側面に特化したレビューが少しでもα1購入を決断する手助けになれば幸いである。 α1は疑う余地なく、とても興味深いカメラである。 このカメラが持つ機能の数々は圧倒的である。α1は総合的に優秀なカメラであると共に、α7Rやα7S、α9シリーズのように一つの機能に特化させたカメラをそれぞれの得意分野でガチンコ対決をしても勝ってしまう、とてもレアなカメラである。α7R IVよりも優秀な静止画撮影カメラであり、α7S IIIより素晴らしい動画カメラである。ただジレンマも生じてくる、 α1はα7R IVとα7S IIIの2台を足した価格よりも値段が高いのである。 私個人の意見としては、同じ金額を支払うならば、α7R IVとα7S IIIの2台を別々に所有した方がお得だと感じている。α1をとても気に入ったし、その機能の高さも認めるところではあるが、今すぐに所有したいカメラではないというのが正直な感想だ。今所有しているカメラ(α7 III、α7R IV、α7S III)にとても満足しているからである。
でも、確実に言えることが一つある。 もし、この世に$6500の価格設定でも十分購入に値するミラーレスカメラが存在するとするならば、α1こそがそのカメラであると。
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