cinemagear 映像制作機材info

映像制作に必要な機材の海外レビューやニュースを随時お届けします

誰でもできる! ティール &オレンジ ルックをたった2ステップで実現!

よろしければ、僕のTwitterのフォローにご協力くださいませ。記事の更新のたびに呟いております!


目次

 

Teal & Orangeのルックとは?

カラーグレーディングをしている方なら聞き覚えのある言葉としてティール & オレンジ (Teal & Orange)という表現があると思います。

 

ざっくり言うと画面内の色表現をTeal (青緑)とOrange(オレンジ)と言う好対照な二色のパレットで表現することで画面内に強力な色彩のコントラストを作り、バックグラウンドとキャラクターのコントラストをくっきりと魅せるグレーディング手法になります。

 

ハリウッドでもとても人気な色彩表現で、Jokerマッドマックス 怒りのデスロードジュラシックパーク 炎の王国でもこのルックが使われています。

 

f:id:sulgi0917:20200825184005p:plain

Joker

f:id:sulgi0917:20200825184420p:plain

f:id:sulgi0917:20200825184446p:plain

f:id:sulgi0917:20200825184510p:plain

マッドマックス 怒りのデスロード

f:id:sulgi0917:20200825184559p:plain

f:id:sulgi0917:20200825184618p:plain

ジュラシックワールド 炎の王国

この有名なグレーディング手法を、誰もがたったの2ステップでできる方法をColor Gradking Centralと言う、プロのカラリストがグレーディングを教えてくれるチャンネルがシェアしてますので紹介したいと思います。

f:id:sulgi0917:20200825183349p:plain

Color Grading Centralは現役のカラリストがグレーディングのイロハを伝授

Teal&Orangeの色彩を簡単に解釈することから始めましょう。

画面内に人物がいることを想定した場合、自動的に人物のスキントーンがオレンジ系統に傾き、人物以外のもの、例えばバックグラウンドにティールを配色するというのが基本となります。

f:id:sulgi0917:20200825185401p:plain

 

この二つの対照的な色彩の配置は夕陽の沈む海辺のカラーテーマにとても近いものがあります。

f:id:sulgi0917:20200825232524p:plain

色彩のコントラストは夕陽の沈む海と似ている


 このチャンネルが推奨する2つのステップとは大まかに下記の二つになります。

  1. 人物の顔を中心とした色(スキントーン)をカラーピッカーで抽出し、その色(オレンジ)を特定したら、その色以外の色(主にバックグラウンド)をTealの方向に傾けることで色彩のコントラストを作る
  2. Teal部分に調整した画面の領域の暗部(シャドー)からTeal色を排除してあげる。この時、使うのはPremiere ProでもDaVinci ResolveでもFinalCut Pro Xでも「Luma VS Sat」モードになります。

これだけです。

 

それでは、グレーディング プラットフォーム別に見ていきましょう。

DaVinci Resolveの場合

f:id:sulgi0917:20200825233619p:plain

Logファイルのままのクリップ

もしもグレーディングする素材がLogファイルならば、とてもベーシックなLogファイルのカラースペースの変換を完了し、ホワイトバランス、明るさ、コントラスト、サチュレーションの状態を整えて、 各クリップのカラーマッチングができていると仮定して進めていきます。

 

各クリップの色を整えた状態では下記のようになります。

f:id:sulgi0917:20200825234241p:plain

f:id:sulgi0917:20200825234259p:plain

これらのクリップに一斉にTeal & Orangeエフェクトを施していきます。

 

1)クリップをまとめてグループを作りましょう。

f:id:sulgi0917:20200825235839p:plain

グループを作ります

 

f:id:sulgi0917:20200825234604p:plain

一斉にグレーディングをするため、クリップをまとめて一つのグループにします

2)クオリファイアーを使ってスキントーンを選択します。

f:id:sulgi0917:20200826000257p:plain

クオリファイアーの画面、スキントーン(顔の部分)をスポイトで選択しましょう

f:id:sulgi0917:20200825235928p:plain

クオリファイアーを使ってスキントーンのカラーを満遍なく選択します

3)選択部分を反転します。

f:id:sulgi0917:20200826000701p:plain

反転ボタンを押して選択部分を顔以外の全てにしましょう

f:id:sulgi0917:20200826001049p:plain

顔(スキントーン)以外が選択されている状態

4)Color Wheelを開いてOffsetをTealの方向にドラッグしましょう

f:id:sulgi0917:20200826001215p:plain

Color Wheelを開いてOffsetをTealの方向にドラッグ

f:id:sulgi0917:20200826001508p:plain

Color Wheelのパレット、Offsetは一番右のホイール

f:id:sulgi0917:20200826001612p:plain

スキントーン以外がTealに傾くことで、既にTeal & Orangeはほぼ完成

5) ShadowエリアのTealティントを取り除きます。

新しいノードを追加して、TealティントをShadow部から取り除きます。

f:id:sulgi0917:20200826085455p:plain

新しいノードを追加しましょう

f:id:sulgi0917:20200826001903p:plain

このノードでShadow部のTealティントを取り除きます

f:id:sulgi0917:20200826085711p:plain

Curvesを開きます

f:id:sulgi0917:20200826002036p:plain

このプロセスはLuma VS Saturationのウィンドウで行います

f:id:sulgi0917:20200826002208p:plain

Shadow部分だけを下げることで、Tealティントを取り除きます

これで完了です。

Before アンド Afterで比べてみましょう。

まずはBeforeです。

f:id:sulgi0917:20200826002414p:plain

f:id:sulgi0917:20200826002441p:plain

f:id:sulgi0917:20200826002630p:plain

そしてAfter (Teal & Orange加工後)

f:id:sulgi0917:20200826002721p:plain

f:id:sulgi0917:20200826002740p:plain

f:id:sulgi0917:20200826002756p:plain

 

Priemiere Proの場合

f:id:sulgi0917:20200826085242p:plain

Premiere Proでも試してみましょう

Premiere Proでも大切なのはグレーディングをする前に基本的なカラーコレクションは済ませておく、ということです。 こちらで扱うクリップは下の写真のようなクリップです。

f:id:sulgi0917:20200826090451p:plain

f:id:sulgi0917:20200826090510p:plain

f:id:sulgi0917:20200826090523p:plain

f:id:sulgi0917:20200826090532p:plain

1) すべてのクリップに適用するグレードになるため、Adjustment Layer(調整レイヤー)を作成し、全てのクリップの上に配置します。

f:id:sulgi0917:20200826090842p:plain

Adjustment Layer(調整レイヤー)を作成

f:id:sulgi0917:20200826091103p:plain

Adjustment Layer (調整レイヤー)を全てのクリップの上に配置します

2) Lumetri ColorパネルのHSLセカンダリ コントロールを使ってスキントーンの色彩を選択します。

f:id:sulgi0917:20200826091437p:plain

HSL セカンダリからクオリファイアーを選択します

f:id:sulgi0917:20200826092017p:plain

スキントーンの色を中心に選択していきます

f:id:sulgi0917:20200826092133p:plain

選択部分を反転します

f:id:sulgi0917:20200826092504p:plain

選択部分が反転した状態、スキントーン部以外に色調整を施す準備ができました

3) 選択した部分の色彩をTealの方向に寄せていきましょう。

f:id:sulgi0917:20200826092831p:plain

カラー / グレイ チェックボックスを解除し、全ての画面が見えるようにしましょう

f:id:sulgi0917:20200826092646p:plain

3ウェイ カラーホイールを動かしていきます

3ウェイ カラーホイールをTeal方向にドラッグします。

f:id:sulgi0917:20200826093355p:plain

Teal方向に色をシフトさせましょう

f:id:sulgi0917:20200826093557p:plain

スキントーン以外がTeal方向に補正されたのが分かります(ほぼ完成です)

4) Shadow部分のTealティントをなくしていきます。

f:id:sulgi0917:20200826094209p:plain

Lumetri カラーインスタンスを調整レイヤーに追加します

f:id:sulgi0917:20200826094420p:plain

Luma VS Saturation カーブのシャドウ部分を下げていきます

これで完成です。

Before アンド Afterで比べてみましょう。

まずはBeforeです。

f:id:sulgi0917:20200826090523p:plain

f:id:sulgi0917:20200826090510p:plain

f:id:sulgi0917:20200826090451p:plain

f:id:sulgi0917:20200826090532p:plain

そしてAfterです。

f:id:sulgi0917:20200826095011p:plain

f:id:sulgi0917:20200826095024p:plain

f:id:sulgi0917:20200826095035p:plain

 

f:id:sulgi0917:20200826095741p:plain



Final Cut Pro Xの場合

原理は全く一緒になるので、Final Cut Pro Xにも当てはめてみましょう。

f:id:sulgi0917:20200826095412p:plain

Final Cut Pro Xでも原理は一緒です

補正するクリップは下記のようなクリップになります。

f:id:sulgi0917:20200826101152p:plain

f:id:sulgi0917:20200826101209p:plain

1) まずは全てのクリップにグレードを適用するために、コンパウンドクリップを作成します。

f:id:sulgi0917:20200826100005p:plain

全クリップを選択して、コンパウンドクリップを作成します

2) 次に肌の色(Teal & Orange のオレンジ系の色)を選択する作業に取り掛かります。

メニュー下部の「補正を追加」セクションから「カラーホイール」を選択、その後に「カラーマスクを追加」を選択します。

f:id:sulgi0917:20200826100626p:plain

カラーホイールを追加します

f:id:sulgi0917:20200826100848p:plain

カラーマスクを追加を選択します

f:id:sulgi0917:20200826101429p:plain

スポイトを使ってスキントーンを選択していきましょう

f:id:sulgi0917:20200826101615p:plain

「マスクを表示」を選択しましょう

f:id:sulgi0917:20200826102053p:plain

微調整を重ねてスキントーンを選択していきましょう

f:id:sulgi0917:20200826102302p:plain

選択完了したらマスクの選択範囲を「外側」に変えて反転させます

f:id:sulgi0917:20200826102433p:plain

もう一度「マスクを表示」をクリックして通常表示に切り替えます

3) 全体的なトーンをTealの方向に変更していきます。

f:id:sulgi0917:20200826102633p:plain

マスター ホイールをTealの方向にドラッグします

f:id:sulgi0917:20200826102725p:plain

スキントーン以外をTealの方向にドラッグした結果、Teal & Orangeの表現がほぼ完成


4) Luma VS Saturationを使ってShadow部分のTealティントを取り除きます。

 

まずはヒュー / サチュレーションカーブを追加します。

f:id:sulgi0917:20200826102945p:plain

ヒュー/ サチュレーションカーブを選択します

f:id:sulgi0917:20200826103456p:plain

他のアプリと一緒でLUMA VS SATURATIONを操作します

f:id:sulgi0917:20200826103619p:plain

Shadow部を選択肢から外すことで、Shadow部のTealティントを取り除きます

これで完成です。

Before アンド Afterで比べてみましょう。

まずはBeforeです。

f:id:sulgi0917:20200826104025p:plain

f:id:sulgi0917:20200826101152p:plain

f:id:sulgi0917:20200826101209p:plain

そしてAfterです。

f:id:sulgi0917:20200826104234p:plain

f:id:sulgi0917:20200826104250p:plain

f:id:sulgi0917:20200826104302p:plain

 

さて、おさらいです。

今回の手法では以下の二つの点に焦点を当ててグレーディングを行っています。

  • 人物の顔を中心とした色(スキントーン)をカラーピッカーで抽出し、その色(オレンジ)を特定したら、その色以外の色(主にバックグラウンド)をTealの方向に傾けることで色彩のコントラストを作る
  • Teal部分に調整した画面の領域の暗部(シャドー)からTeal色を排除してあげる。この時、使うのはPremiere ProでもDaVinci ResolveでもFinalCut Pro Xでも「Luma VS Sat」モードになります。

 

三つのプラットフォームで、全く同じ手法でTeal & Orangeのグレーディングが可能ということは、この原理を使えばどのプラットフォームでも(例えばVegas ProとかEdius)でも同様のステップを踏むことで簡単にTeal & Orange ルックを実現できるということだと思います。

 

もし、参考になりましたならば、ご自身のプロジェクトで一度試していただいて、ご感想などお聞かせください。 

 

よろしければ、僕のTwitterのフォローにご協力くださいませ。記事の更新のたびに呟いております!