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Canon担当者とのQ&A〜 R5C 10の疑問が明らかに!

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R5Cが発表されて、いくつかのYoutubeチャンネルがReview動画を上げています。 とは言ってもSony機ほど大々的にインフルエンサー達の手に渡っているわけでもなさそうで、今のところは大手の映像機材ディーラーが具体的なレビュー動画を上げています。 そちらは現在、まとめ記事としてアップする準備をしております。 

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目次

はじめに

Canon R5Cが発表されて1週間が過ぎようとしていますが、ユーザー間では今回Canon R5からR5Cになることで、どのような変化があったのか、また残念ながら省かれてしまった機能はなぜ省かれたのか? ということに関して様々な憶測が飛び交っています。 例えば、なぜC-Log2は省略されてしまったのか? センサーシフト式ボディ内手ぶれ補正はなぜ搭載されなかったのか? オーバーヒートは本当にしないのか? R5のRAWとR5CのRAWのクオリティはどちらが良いのか? などなど、気になる質問のみをまとめてみました。

 

Q&Aを行ったのはUKのプロ用映像機材ディーラーとして有名なProAV、機材レビューで有名であり、日本語サイトも常設しているためお馴染みの方も多いCineDが別々にCanonの製品担当者をインタビューし、動画にしてアップしています。

Q&Aに答えてくれるのはCanonのプロダクトマーケティングスペシャリストであるAron Randhawaさんと、チャンネル マーケティング エグゼクティブのMehdia Mehtalさんになります。

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UKの映像機材ディーラーであるProAV


今回、両者が同じ答えをしている質問、片方のQ&Aのみで言及されている質問とばらつきがあるため、できるだけ両方の意見を紹介しながらも、両者の意見が一致する場合は、より詳しい説明の方を紹介いたします。

R5C Q&Aまとめ

コーデックについての公式な見解

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HQ、ST、LTと3種類あるRAWのクオリティはどのような定義なのか?

CineD インタビュー映像にてAronさんが説明するCinema Raw LT、ST、HQとR5のCanon Rawとの違いについて

  • Cinema Raw Light LTはその言葉の示す通り、従来のEOSシネマラインで採用しているCinema Raw Light よりファイルサイズを軽くした(LTはライトの略)Rawフォーマットである。
  • Cinema Raw Light STは従来のEOSシネマラインで撮影できるCinema Raw Lightと全く同じRawフォーマットである。(STはスタンダードの略)
  • Cinema Raw Light HQは従来のEOSシネマラインで撮影できるCinema Raw Lightよりもさらにビットレートを上げて一歩上の画質を実現したRawフォーマットになる。

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C300 MKIIIで記録できるCinema Raw LightのクオリティとR5Cで記録できるRAW STは一緒

これらのRAWフォーマットを用意したのはユーザー(撮影の用途)ごとにファイルサイズと画質の適正なバランスが違うことを見越し、選択肢を提供したいと思ったからである。

全てのCinema Raw Lightコーデック(LT、ST、HQ)が12ビット記録となるが、Cinema Raw Lighjt LTのみがCFexpress type Bカードへの8K/60P記録に対応している。

 

(LTとSTのビットレートがあまり違わないとの指摘に対して)

おそらく、ほとんどの人が(LTとSTで撮影した映像を比較して)違いを指摘するのは難しいと感じる。インタビューなどの撮影にはLTを使用することを強くすすめる。 HQを使用する利点としては、とても複雑な描写が必要になった時に(フレーム内の被写体が複雑に動いている時など、例としては木の葉が風に靡いたり、波の行き来を描写する場合が考えられる)細部を詳細に検証した場合に画質の違いが分かると思う。 HQモードでは記録データ量を増やすことで詳細な描写がより可能となっているから。クロマサブサンプリングなどの違いはなく、データレートのみの違いだと思っていただきたい。LTからST、STからHQへの画質の変化の幅は広くないと思っていただきたい。 とにかく、最高画質での記録が絶対条件な時のみHQの使用を検討することになるのではないかと思う。

ProAV Mehdiaさん (Cinema Raw Lightに関してのコメント)

従来の(C300 MK IIIやC500 MK IIで)Cinema Raw Lightは30Pまでを12ビットで記録し60Pになると10ビットにビット深度を下げていたわけだが、今回、R5Cでは30P、60P共に12ビットでの記録に対応している。 これは今まではシネマカメラには映像用のDigic DVプロセッサーを使用していたのに対し、今回はR5に採用されていたDigix Xプロセッサーを使用したことと関係している。

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となると、厳密には60P撮影時はC500MKIIIのCinema Raw Light(10ビット)よりも
R5CのRAW ST記録の方が画質は上ということになる?

質問 1 : Cinema RAW LIght HQはなぜスーパー35mm(クロップ)モードに限定されるのか?

CineD映像 Aronさんの答え

単純に記録できるデータレートの限界からそのような設定になっている。CanonとしてはCFexpress Type Bカードへの書き込み速度の上限を2.6Gbpsと考えていて、SDカードのUHS-IIカードの書き込み速度の上限を645Mbpsと考えている。 (実際にはもう少したくさんのデータを記録できるとは思うが)これらの書き込み上限速度までを書き込みエラーの確率が少ない、信頼性の高い書き込み速度の上限だと考える。

質問 2 : オーバーヒートに関して、このカメラは決してオーバーヒートしないのか?

ProAV Mehdiaさんの答え

基本的にこのカメラはオーバーヒートしない設計となっている。 ただし、もしもオーバーヒートするならば、4:2:2 10ビット、4K/120Pを連続でCFexpress Type Bカードにイントラフレームで記録した場合が考えられる。イントラフレームの膨大なデータを120フレーム/秒のスピードで書き込むわけなので、記録するカードに熱が帯びる可能性はある。もしオーバーヒートが気になる場合だが、カスタムボタン設定にカードスロット内の温度をモニタリングできる機能をアサインできるようになっているので、活用することを薦める。

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カスタムでこのようなカードスロット内の温度モニタリングを表示することも可能 
(写真上はカードが入っていない状態)

質問 3 : EOS R3やEOS R5で記録可能なRAWフォーマットと、R5Cで採用されたRAWフォーマットの違いを教えてほしい。

CineD映像 Aronさんの答え

両者はとても似通ったRAWフォーマットである。編集ソフトに取り込んだ時にRAWとして処理できる柔軟性(メタデータの変更など)も同じである。今回のCinema RAW Lightに関しては従来のR5で採用していたRAWフォーマットよりも若干ファイルサイズを抑えるために圧縮がかかっている。 こうすることで、より多くの人たちがRAW記録を体験できるようにとの考えからこうなっている。 R5では2.6Gbps(カードでの記録可能限界値)で8K/30Pの撮影が可能であった。そのおかげでディティールに富んだ映像を記録可能であったわけだが、同時に大部分の(編集用)コンピュータシステムが再生するのに手こずっていた。 たくさんのユーザーがRAWでの撮影を体験し、4:2:2 10ビット撮影との違いを、RAW撮影の利点を知りたがっていたのだけど、膨大なデータレートを使用して記録した映像が足枷となっていた。 そのことを踏まえ、今回はCInema RAW Lightでの3つのRAWフォーマットを提供する方法を選択した。 より多くの人たちにRAW映像を体験してもらうには、このアプローチの方が良いと判断した。(中略)Canon R5で撮影できる8K/30P映像に使用しているデータレートが2.6Gbpsであり、R5Cで記録できる8K/30P映像が1.7Gbpsであることから、データレート上の違いがあることは認める。 しかし、このデータレートにしたことでオーバーヒートせず、安定した連続記録をCFexpress Type Bカードにより多く記録できるようにしたことにより、プロが撮影現場で使用するというニーズに応えた形となる。

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うーん、理論的にはR5の8K/30P RAWの方がR5Cの8K/30P RAWより画質が高いのか?
写真はCameralabs.comから抜粋

質問 4 :クーリングファンがついたR5Cの防塵防滴性能に問題はないのか?

ProAV Mehdiaさんの答え

R5とR5Cの防塵防滴性能は全く一緒だと考えて問題ない。 これはクーリングファンの機構が内部の電子制御機構と完全に分断した形で機能するからである。 つまり、クーリングファンの通気口から侵入する物質はカメラ本体内部に侵入することはないということである。

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R5の防塵防滴と全く一緒とのことだが
クーリングファンに水が入ったらクーリングファンは壊れないのか?

質問 5 : 今回、H265での記録が8K/30Pまでに限定され、60Pに対応しなかったのは何故なのか?

CineD映像 Aronさんの答え

8K/30Pまでをh265のフォーマットで撮影できるようにしたことは(RAW記録に比べ)ファイルサイズの節約という意味でとても大きな意味を持っていると考える。 理解していただきたいのは、8K/60PでのRAW撮影をする時点で既に膨大なデータの処理をプロセッサーが担うことになるのだが、もし、8K/60Pをh265のフォーマットに圧縮するとなると、プロセッサーの処理がさらに必要となる。 このカメラの仕様をよく見ていただくとわかるのだが、XF-AVCやh265での撮影時にバッテリーの持続がRAW記録の時よりも短くなっているのはそのせいである。 Cinema RAW Lightのフォーマットで60Pのデータを凝縮することは、さらに圧縮されたコーデック(XF-AVCやh264)にして記録するよりも簡単なことなのである。 (中略)RAWでの8K/60P記録時に外部電源を使用することは電力不足の問題は解決するのだが、プロセッサーの処理能力不足を解決するには至らない。

質問 6 : アナモフィックモード使用時に実際にはセンサー領域のどの部分を使用して記録しているのか?

CineD映像 Aronさんの答え

R5Cのセンサーは実際には3:2の比率であるが、動画記録をする場合にはセンサーの17:9の8K DCIに準拠した画面領域を使用している。アナモフィックモードで撮影する場合は縦のピクセル領域では4320Pまでを活用している。 通常の4Kでの記録時よりも大幅に多いピクセルを縦ラインの解像に利用する。 2倍のアナモフィックレンズを使用する場合、横のピクセルは5K以上となり横ラインの解像力も4K映像に比較した場合に大幅にアップすることとなる。 カメラがどのように記録しているかという点に関しては、現時点ではモニタリング用に横に引き伸ばして映し出しているが、記録される映像は引き伸ばされていない状態のものとなる。

質問 7 : R5に採用されていたセンサーシフト式 ボディ内手ぶれ補正をR5Cで取り除いた理由は何故?

ProAV Mehdiaさんの答え

- 走行中の車を撮影するプロフェッショナル達がボディ内手ぶれ補正は邪魔になるだけだと証言するビデオ(映像は下に添付)に関して言及した後 - R5に搭載された(センサーシフト式)ボディ内手ぶれ補正は素晴らしい機能ではあるけれど、動画撮影に於いて電子式手ぶれ補正の方が有利に働く局面も多数あると感じた。この理由から動画撮影に特化した最近のEOS Cinema Lineカメラ(C500 MKII、C300 MK III、C70)は全て電子式手ぶれ補正を採用している。 RFレンズ群に採用されている手ぶれ補正の補正能力はEFレンズ群に採用されたものよりも強力であり、Cinema EOSのボディとの共同作業で素晴らしい効果を発揮することが可能である。(後略)

Canon公式でのビデオで、走行中の車から撮影をする場合にセンサーシフト式ボディ内手ぶれ補正が邪魔になるという証言を現役のビデオグラファー達がしているのが下のビデオになります。

ProAVでも独自に車内でR5とR5Cを使ってセンサーシフト式と電子式手ぶれ補正の効果の違いを下の動画で確認しています。(再生するとその箇所から始まります)

CineD映像 Aronさんの答え

たくさんの人たちがセンサーシフト式ボディ内手ぶれ補正(メカニカル手ぶれ補正)を取り除いたことに不満を持っていることは、残念なことだと思っている。大きな誤解があると思うので説明したい。 R5Cは5軸電子手ぶれ補正システム(ボディ内電子IS)を採用している。 RFレンズ使用時にはレンズとボディの相互補正が可能となるため、最大の補正効果を発揮する。R5に採用されたセンサーシフト式ボディ内手ぶれ補正は写真を撮影する時に最大の威力を発揮する。 露光時間を伸ばしたり、テレフォトレンズを三脚なしで使用する場合が良い例である。R5Cはプロの映像撮影現場での使用を前提としているため、カメラを手持ちのまま歩いて撮影したり、カメラを横にパンしたりする動きには電子手ぶれ補正の方が効果的である。センサーシフト式手ぶれ補正においての補正の幅は、センサーの可動領域が限界となっている。動画撮影でカメラの動きの幅は静止画撮影よりも多いため、センサーシフト式手ぶれ補正では限界値にすぐ達してしまう。そして無理な補正をかけようとするため、特に背景の四隅などがジェリー状に歪む(こんにゃく歪みとも言う、ローリングシャッターの影響で発生する)対して、電子手ぶれ補正システムの場合は動きの幅が多い動画撮影のシーンでもそのような歪みが発生することがない。(中略)この電子式手ぶれ補正システムはRFレンズとの組み合わせで最大限の威力を発揮するが、マニュアルレンズやアナモフィックレンズを装着した時でも、レンズの焦点距離を入力することで機能することも付け加えておきたい。

理由はもう一つあって、それは電力の問題である。 このカメラは8K/60Pまで撮影可能な、とても強力なツールであるが、そのためにたくさんの電力を必要とする。 光学式手ぶれ補正をONにしていた場合に、たくさんの電力がそのために消費されてしまうことになるため、(電力消費が)より効率的な方法を選択したとも言える。

最後に、プロの撮影現場で移動撮影がある場合にジンバルをはじめとする機材を使うことが多く、光学式手振れ補正はそのような機材との相性が悪いことも理由の一つである。

(中略)8KRAW記録時に電子式手ぶれ補正が使えないことに関しては、RAW撮影とは本来、センサーからのデータを加工しないで記録することが目的である。電子式手ぶれ補正はセンサーからのデータを加工する工程の一部であるため、RAW記録時には電子式手ぶれ補正は機能しない。

質問 8 : C-Log2での撮影機能が省略された理由は?

CineD映像 Aronさんの答え

C-Log2は最大16ストップのダイナミックレンジを記録可能なLogプロファイルになる。ハイライトの情報を保持することに適しているだけではなく、暗部のディティールもしっかりと記録することが可能だ。但し、暗部の情報は記録しながらも、ノイズフロアーを押し上げてしまう結果となり、ポストプロダクションでの映像の加工をより必要とするLogプロファイルでもある。C-Log3は14ストップのダイナミックレンジを記録可能であり、暗部のノイズは極力抑える設計になっている。C-log2と比べるとハイライトの情報を保持する能力も遜色ない。ポストプロダクションでの処理が少なくて良いことから、C-Log3は好評を得ている。

今回、C-Log2を搭載しなかったのは制限をかけたと言うよりも、論理的な判断の下、不要だと感じたからだ。EOS R5のセンサーとプロセッサーを共有するR5Cは14ストップのダイナミックレンジを記録可能となっている。 RAW記録をした場合は、RAWからLogへの変換の時にC-Log2を選択することも可能なことは忘れないでほしい。C-Log2を使ったからと言って、カメラのダイナミックレンジが広がるわけではない。 単純にC-Log2を使用した場合に得られる利点がこのカメラにはないと判断したからである。

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C-Log2(緑)とC-Log3(赤)のダイナミックレンジ比較
R5Cは性能的に14ストップが限界なので、C-Log2は意味がないとの見解

質問 9 : R5と同じマイクロHDMI端子を R5Cにも搭載し、フルサイズHDMI端子にしなかった理由は?

CineD映像 Aronさんの答え

このカメラの根幹はEOS R5である。横のサイズは若干広くなったがR5専用のケージやアクセサリーが使い回せるような形状に留めたいと考えた。カメラを製造する立場としては、R5の形状を基調として、更に追加できるものは何かという観点にフォーカスをしてR5Cを開発した。マルチファンクションシューやタイムコード端子を追加したけれども、側面に既に備わっていた各種入出力端子に関しては、R5と同じ状態でそのまま残した形となる。(後略)

ProAV Mehdiaさんの答え

理想としては、確かにフルサイズHDMIポートやSDIポートがある方が好ましいことは理解している。 今回、R5Cを開発するにあたって、このサイズのカメラにどれくらいの機能を詰め込めるか、という試みの中でこのような選択となっている。 カメラにはHDMIコードが外れにくくなるプロテクターを同梱している。サードパーティ製のケージなどを利用することでHDMIケーブルの接続が外れないように工夫は可能だと考える。

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要は使いまわしたかったのですね。 理解いたしました。
写真はCameralabs.comから抜粋

質問 10 : 動画撮影時のオートフォーカスシステムが古い世代のオートフォーカスである、デュアルピクセルCMOSAF1が搭載されたことに関して

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CanonWebsiteから、動画撮影時のAF機能はR5と違う

ProAV Mehdiaさんの答え

R5のムービーモードでは最大で横90% X 縦100%のエリアで測距可能であったのが、R5Cではおおよそ80% X 80%の測距可能エリアに限られることが違いの一つである。 これはCinema EOSカメラのスタンダードとなっている。(中略)人々は(評判のあまり良くない)C70のオートフォーカスと比べてどれくらい精度が良いのか気になっていると思うが、センサーとプロセッサーが違うため、AFスピードとレスポンスの良さに関してはC70よりも遥かに改善されている部分が多い。(中略)乗り物検出AFは確かにR5Cの動画モードでは非対応となる。 しかし、AFエリアを全体に設定し、LCD画面をタップするだけでフレーム内で任意に選んだ物体をトラッキングする機能があるため、この機能を活用することで乗り物(や動物)のトラッキングは可能となっている。

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(写真上)タッチトラッキング機能を使用することで、動物や乗り物検出AFの代用を勧めている

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Canonの公式ビデオから抜粋、車のナンバープレートをAFが追従している様子

CineD映像 Aronさんの答え

オートフォーカスシステムの世代という括りで話すこと適切ではないと思う。Canonは写真撮影に適したオートフォーカスと映像撮影に適したオートフォーカスをそれぞれ開発し、二つのシステムはそれぞれ異なった特徴を持つ。プロの映像制作用に特化されたオートフォーカスは安定性と信頼性に重点を置いていて、最新技術が注がれて実現している。 R5Cの動画撮影時には、今回、Canonのシネマカメララインでは初となる瞳オートフォーカスが採用されているだけでなく、去年発売のC70にも採用されたiTR AF Xシステムも採用している。 現在市場に出回るカメラの中で顔認識オートフォーカス機能をもつカメラはたくさんあるが、人物が後ろを向いた時に顔認識が作動せず、フォーカスがずれるカメラがほとんどである。しかしR5Cは、例え人物が後ろを向いてもオートフォーカスで顔や人物に追従することが可能となっている。 また、動画撮影用のオートフォーカスシステムだけの特徴である、顔限定オートフォーカスも採用されている。(中略)また、AFスピードとレスポンスのチューニングも細かく設定できるようになっている。これらの機能は写真撮影用に設計されたオートフォーカスシステムには採用されなかった機能である。写真撮影用に設計されたオートフォーカスの利点といえば、動物の瞳検出オートフォーカスや乗り物検出オートフォーカスがあり、他にもオートフォーカスエリアが広くなっているという部分がある。しかし、これらのニーズはより写真撮影に必要となるものであり、動画撮影用のニーズとは異なると感じている。(後略)もし、今にも飛び立とうとしている鳥の姿に素早くオートフォーカスさせたいというのならば、R5の方が優れたパフォーマンスを発揮すると思うが、より柔軟なコントロールを必要とする映像制作の現場で実用的なAF機能を備えているのはR5Cだと言える。

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C70の商品紹介ページより、iTR AF Xの説明
人が後ろを向いてもフォーカスが外れない

↑は顔限定オートフォーカスの説明動画 (CInema EOSのラインにのみ搭載されている)

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C200の商品紹介ページより、AFスピードとレスポンスのチューニングが可能
R5Cでも採用されている

いかがでしょう? R5Cの機能や制限されてしまった機能に対する知識が少しは深まりましたか? 

 

最後に、現在、R5Cの海外レビューのまとめを書いています。 ダイナミックレンジや、手ぶれ補正の詳細、ファンのノイズ、各種モードでの解像度比較他、たくさんの特徴をお伝えできるのではないかと思います。

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