よろしければ、僕のTwitterのフォローにご協力くださいませ。記事の更新のたびに呟いております!
目次
Canon R3が発売されて早くも二ヶ月弱が経過しようとしています。 このカメラ、本来ならばR1が発売されるのでは? と思っていた人たちにとっては肩透かしを食らった感もあるのかも知れませんが、少なくともスペックを見る限りでは1DX MKIIIと同等かそれ以上の性能であることから、事実上のCanonのフラッグシップ ミラーレス機と考えても問題ないように思えます。 Canon R3のスペックはこちらでご確認ください。
話は逸れますが、僕が追いかけているYoutuberの中でも、Canonの機材をこよなく愛している方々がたくさんいらっしゃいます。
代表的なのが、560万人以上のフォロワーを持ち、Canonのアンバサダーもつとめ、カメラバッグやNDフィルターのプロデュースもしているPeter McKinnonさんでしょう。 R5が発売された時は、一番最初にファーストインプレッションビデオをアップして、素晴らしいカメラと言いながら、オーバーヒートに関しては一切言及しなかった、Canon寄りに思いっきり振りきれたYoutuber / インフルエンサーですね。
他にもAlmando Ferreiraさん、Canon系のシネマカメラのチュートリアルをたくさん作っているCrimason Engine、Fulltime FilmmakerシリーズとしてHow To系のビデオを作り、168万人のフォロワーをもつParker Walbeckさんなど、たくさんのCanon製品を愛してやまないYoutuber / フィルムメーカーたちがいます。
Canonを選ぶ大抵の理由はレンズと結婚しているからとのことだそうですが…
彼らの口癖は、決まって
Flirt with cameras, marry with lens system (カメラとは浮気をし、レンズと結婚する)
となります。 彼らのもう一つの口癖は
Canonのカラーサイエンスに惚れた
ということで、Sonyの色味を嫌っているという傾向がありますが、それが口だけだったことは、先述のPeterさんが実施した、CanonとSonyの色味を当てるという趣旨のクイズ形式のYoutube動画でCanon派もSony派も色味を正確に言い当てられなかったところから明白ではあります。
さて、話は逸れましたが、Griffin ConwayさんもCanon派の一人でしょう。GriffinさんはCanonのC500 MKIIやC70、1DX MKIIIなど、Canonのカメラはほぼ全て所有しているのではないかと思われますが、過去には1DX MKIIIとC70の動画機能にスポットを当てた比較動画も出していました。
そのGriffinさんがR3を動画機としてみた場合に、同価格帯で動画専門機であるC70と比較するとどちらが良いのか、というテーマで動画をアップしています。 R3を買ってまだ日が浅かったこともあり、テストとしては若干未完成な部分もありますが興味深い結果になっています。
Griffinさんは冒頭でこう述べます。
このビデオでは4つの項目の比較をしようと思っている。
そして、最終的にこれらのカメラがどのような人たちに適しているかをお伝えしたい。
テスト環境 - 両者ともにアダプターを経由して行う
全てのテストはC70にはスピードブースターを、R3にはRFからEFへの変換アダプターを付けて行われている。 テストでは似たレンズを両方のカメラに装着している。つまり、このテストの条件は両機種ともに全く一緒というわけにはいかなかった。 但し、このテストは私自身が実際に使用することを想定して行われている。私は常にEFレンズをメインで使用していて(GriffinさんはC500 mk2も所有)、C70使用時もフルフレーム同等の画角で撮影を行うことを意識している。
イメージクオリティ
C70の方はスピードブースターを使っているからなのか(?)太陽光のグレアが発生しやすくなっている。その影響で映像のコントラストが損なわれている。このようなルックを否定しているわけではないが、興味深い結果ではある。
通常のフルフレームセンサーのカメラと、スピードブースターをかましてフルフレーム同等の画角を再現したカメラを横に並べて比べた場合にグレア発生の懸念がより強くなることがわかった。
ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジの比較に関しては、正直に言ってどちらが優れていると言い切れるほどの優越の差はなかった。 但し、ここで見せているシーンがダイナミックレンジのテストを行う上で最適であったわけではないので、参考程度に考えてほしい。 実際の現場で両機種ともに使用した経験も加味していうならば、大した差がないと言って差し支えない。
シャープネス
映像の描写において、輪郭をしっかり描写していたのはR3の方であった。
個人的な意見にはなるが、常に輪郭がしっかりと描写される映像が必ずしも好ましいとは限らない。例えば、このYoutubeの映像も1/4の(ブラック)プロミストフィルターを使用することでなめらかな肌の描写を実現しているが、これはくっきりした輪郭描写とは全く反対に位置する表現手法である。
両機を比較した場合はR3はとてもディティールの再現に適したシャープな描写をする。
対して、C70の映像も決してソフトな描写をしているわけではなく、どちらかというと、大袈裟に輪郭を強調するデジタル映像とは対局の、よりシネマティックな描写をしていると感じる。
↑ Tiffenのブラックプロミストフィルターを使用することで、デジタルでシャープすぎる映像をフィルミックでナチュラルな描写に変えることも可能
色彩表現の幅 (記録された色のビット深度の差)
今回、 R3では12ビットのRAWで全ての映像を撮影した。 C70では4:2:2 10ビットで撮影したのだが、ヒストグラムを見るとR3の映像がよりグラデーションに富んだ色の階調表現をしていることがわかる結果となった。
もちろん、RAWで撮影するということはファイルサイズも膨大になり、編集時の処理も大変だということは承知している。 ただ、両機種の画質比較という点では、R3の方が色彩表現が豊かで、生命の息吹を感じる描写となっている。
スローモーション
スローモーションテストでは60Pモードをあえて省き、120Pのみのテストを行った。 このモードで、意外にも両機種の差が顕著に現れた。
Canon R3は4K/120Pの撮影がRAW記録が不可能であるため、MP4ファイルでの撮影となる。この場合、C-Log3は使用できてもC-Log2は利用できなくなる。C-Log2はCanonのLogプロファイルの中でもダイナミックレンジを最も広く描写可能なプロファイルとなる。 120Pにしたことで画質が悪くなるわけではない。 但し、常に120Pで撮影することは稀なので、120Pと24Pや60Pを織り交ぜたプロジェクトになった場合、C-Log3で撮影を統一したほうが、編集者に渡す際に便利になる。C-Log2とC-Log3を混ぜて撮影してしまった場合は、その旨を忘れずに編集者に伝える必要がある。
C70で120Pを撮影する場合はR3の時のような制限はない。C-Log2で4K/120Pの撮影が可能である。 C70では60Pや120Pで撮影するときにLong GOPコーデック(フレーム間圧縮)を使用しなければいけないのだが、イメージクオリティという意味で大きな差を感じることはない。 但し、圧縮比率が高い映像ほど再生が難しくなるため、編集時の負荷が大きくなることは覚悟しておく必要がある。 私個人としては、C70使用時は常にプロキシーを同時に記録しているため、あまり問題に感じることは少ない。
よろしければ、僕のTwitterのフォローにご協力くださいませ。記事の更新のたびに呟いております!
オーバーヒート
Canon R3で4K/120Pを撮影する際に一番問題となったことは機体がオーバーヒートすることである。 Canon R5が発売された当初、オーバーヒートすることが話題になったが、R3もしっかりとオーバーヒートする。 私の経験だと、4K/120Pを大体12分くらい続けて撮影した場合にオーバーヒートすることが判明している。
120Pを頻繁に使用するようなシチュエーションでは、このカメラは使用しにくいと言えるであろう。 例えばボクシングの試合を常に4K/120Pで撮影しなければいけなかったとしよう。 試合が終わるまでしっかりと撮影するために使用するカメラとしてCanon R3は最適な選択肢にはなり得ないと考える。「オーバーヒートするかもしれない」という心配を常にしながら撮影するのは大きなストレスとなりそうだ。 一点だけ、オーバーヒートからリカバリーするまでの時間はR5よりマシだとだけ付け加えておきたい。
露出オーバーからのリカバリー
露出オーバーの状態で撮影した場合、どれくらいリカバリーが可能なのかというのはカメラの機能としてとても重要な部分である。最初の予想としてはDGOセンサーを搭載したC70の方がリカバリーはしやすいと思っていた。しかし、予想に反してR3もC70もほぼ同等のリカバリーが可能であることがわかった。 さらに言うならばR3の方が若干優秀かもしれないと感じている。 ここでお見せする映像は3ストップオーバーで撮影したものとなる。 正直、このように大幅な露出オーバーで撮影すること自体、あり得ないことである。R3で撮影したRAW映像のISO設定を3ストップ分下げたところ、ほぼ問題なくリカバリーすることがわかった。 C70の映像の場合はRAWではないので、色補正を施すときに使うハイライトやシャドウの部分を単純に下げることでリカバリーすることを確認した。 比較した場合、色の鮮やかさと言う点において、R3の方が優れていると感じる。
オートフォーカス
オートフォーカスの性能を比較する前、予想としてはR3の方がオートフォーカスが優れているに違いないと思っていた。 特殊なモードを使用する場合はR3の方が明らかにオートフォーカスの性能が優れていたことは確かである。「動物優先モード」にした時の動物の瞳にフォーカスするスピードと追従性は素晴らしいものがある。 私の愛犬でオートフォーカスを試したところ、実際に何の操作をする必要もなく、ただ、フレーム内に動物を写し込むだけで、勝手にカメラが認識し、後ろを向いている時は全体に、前を向いているときは瞳にフォーカスを合わせてくれていた。 動物を専門に撮影する機会が訪れる場合はぜひ活用したいモードである。
また、それだけではなく、「乗り物優先モード」にした場合にもとても正確に車両に対するフォーカスを合わせることを確認した。 C70とR3の両方を持ち込んで撮影した時も車両の撮影の場合はR3を優先して活用したわけだが、車を追いかけなければいけない撮影などでこのモードは威力を発揮すると確信した。
但し、通常のオートフォーカスを比較した場合であるが、C70と比較してR3のオートフォーカスはたまに明らかにおかしな挙動をすることがあった。
C70のオートフォーカステスト時には、一度顔を認識した場合は、最後までフォーカスが追従していったが、R3でのテスト時には一度顔を認識し、フォーカスの追従を始めたにも関わらず、時に背景の方にフォーカスを変えてしまうことがあった。 ごく普通の光の環境でこのようなミスが起こったことには驚いた。 このテスト結果を踏まえると、実際の現場で(R3の)オートフォーカスを使用するべきかどうか躊躇することになるだろう。
全てのメーカーの全てのカメラのオートフォーカスは得意、不得意な分野があるため、自分の使用するカメラが、特定の条件下においてしっかりとオートフォーカスするかどうかを事前に把握することはとても重要なことである。 そしてオートフォーカスを使用するかどうかの最終判断を下すのは、常にカメラマンの仕事である。
対してC70のオートフォーカスに関してはかなりの信頼を持って活用できている。 C70のオートフォーカス機能の中で特に気に入っているのが「顔限定モード」になる。 このモードにしておけば、フレーム内の顔にフォーカスが追従するものの、顔がフレームから外れても、背景などの他の部分にフォーカスを合わせようとしないため、フォーカスが迷うことなく便利である。 残念ながらR3にはこの機能は備わっていない。(Canonはシネマカメラのみにこの機能を割り当てている模様)
オートフォーカス機能の比較の結論として、個人的にどちらのオートフォーカスをより信頼し、使用するかと問われたらC70を選択するであろう。 但し、これは私がまだR3のオートフォーカスを使いこなせていない可能性もあり、C70のオートフォーカスに関しては使いこなしている自信があるからかもしれない。
R3の価格はC70とスピードブースターを一緒に買った金額とほぼ同等になる。もし映像をメインに考えている場合にR3を購入するならばいくつか知っておくべき点がある。
- ウェーブフォームモニターが標準装備ではない
- RAW記録を選択した場合のファイル容量がC70と比較した場合は4倍ほど大きくなる
私がカメラマンとして、ビデオグラファーとして、撮影監督としてどちらかのカメラを選択しなければいけない機会が10回あるとして、その内、10回全てでC70を選択することであろう。
一応、金額を出しておきます。(2022年1月19日時点)
Canon R3
Kakaku.com 最安価格:673200円
Canon C70
Kakaku.com 最安価格:659800円
Canon純正スピードブースター
特に値引きはされてなさそうで、一律 88000円
このように見ると、C70 + スピードブースターはR3単体よりも若干高くなりそうですが、前者は在庫があり、後者は在庫がなかなか見つからなく、メルカリ等でR3は75万円ほどで売買されてますので、今すぐ手に入れたい場合にかかる値段は一緒くらいですね。(2022年1月19日の時点での話)
Griffinさんの話に戻ります。
一方、R3は私自身が欲しくて買ったわけで、その理由としては
- 素晴らしい静止画撮影機能
- しっかりとした防塵防滴の信頼性
の二つを挙げることとしよう。 特に雪や雨の降っている状況で小型で取り回しも良く、性能も十分なカメラを使用できる安心感はとても重要である。
もしあなたの仕事がソーシャルメディア クリエーターで、たくさんの写真も撮影しながら映像も撮影したい場合にはR3のようなハイブリッドなカメラがとても有効な機材となるであろう。 現時点でCanon R3はこの世に存在するハイブリッドカメラの中でも一番優秀だと思っている。 Sonyのα1との比較もしてみたいところではあるし、その機会があれば私のチャンネルでアップするので、是非みてほしいと思っている。
今後、Griffinさんが更なるテストを実施して、新しい発見などがあるのか、こちらでも注視していきたいと思います。
R5Cの発表ともに勢力図はまた少しずつ変化する予定
この記事を書いているのが1月19日ですが、(日本時間で)1/20日にCanonがシネマカメラの発表イベントを計画しています。 この中で、明らかになっているのが、CanonのR5のシネマカメラ版で最大8K / 60PまでをRAWで連続記録が可能なR5Cが発表予定です。(他にもカメラが発表されるかも知れないとのことですが、詳しくはまだわかっていません)今回はファンがついてオーバーヒートは一才しないとのことです。
また、C70の新しいファームウェアも発表予定で、新機能として、カメラ内RAW記録が可能になる予定です。 C70のRAW記録の可否に関しましては、一度このブログでDGOセンサーの読み取るRAWデータを外部に出力する方法がまだ確立してないことと、SDカードの書き込み速度が膨大なRAWデータを扱うには遅いということで否定的な書き方をしましたが、(下の記事ですね)
今回、CanonはCinema Raw Light LTという、既存の軽量版RAWファイルを更に軽量化したものを発表するらしく12ビット 4K/30Pまでを645MbpsでSDカードに書き込み可能な形でリリースするとのことです。 もしかしたら、同じビットレートで10ビット 4K / 60Pにも対応するかも知れません。
これが既成事実としたならば、今回のエントリーで紹介した露出オーバーでの撮影時のリカバリーに関しては、R3よりもC70の方が上回る可能性もあり、今後の更なるテストに注目していきたいところです。