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目次
- シネマカメラ VS フラッグシップ一眼レフカメラ
- ダイナミックレンジ
- カードへの記録時間の目安
- オートフォーカス
- ジンバルでの運用
- 動画撮影時の使いやすさ
- 防塵防滴機能
- 高感度ISO使用時のパフォーマンス
- まとめ、あなたが買うべきカメラはどちらか?
シネマカメラ VS フラッグシップ一眼レフカメラ
Canonから発売されたシネマカメラ、C70がYoutube活動をするフィルムメーカーの間で人気です。Canonから発売された初めての RFマウント搭載のシネマカメラとして、より近代的で効率の良い設計のRFレンズの恩恵を受けられるだけでなく、0.71倍のCanon純正スピードブースターを装着することで、フルフレームの画角に近い画角でEFレンズの資産を活用できる点は、既にEFレンズを揃えているユーザーにとって魅力的な特徴だといえるでしょう。
また、比較的小さなボディはジンバルでの運用にも適していて、上位機種であるCanon C300 MK IIIのデュアルゲインアウトプットセンサーを搭載し、120フレーム/秒までのハイスピード撮影もできるとなると、現在日本で流通している価格である66万円(税込)という値段を注ぎ込んでも欲しいと思う方が多いのはうなずけるポイントだと思います。
一方、フルフレームボディでEFレンズマウントを採用したCANONのフラッグシップ 一眼レフ機である1DX MK IIIは現在価格コムで大体74万円ほどで発売されています。
このカメラ、もちろん写真撮影性能はCanonが発売するどのカメラよりも素晴らしいのですが、実は動画撮影時も最大 5.5KのRAW動画を撮影できることは、あまり語られていません。 C70に純正のスピードブースターを追加で購入すると、値段は1DX MK IIIとほぼ同じになるため、この2機種を動画撮影という観点で比較することは、ある意味重要ではないかと考えられます。
C70のオフィシャルページ
1DX MK IIIのオフィシャルページ
ページ一番上の動画はCanonの機材を愛用するGriffin ConwayさんがC70にスピードブースターを装着した状態を1DX MK IIIと比較している動画になり、同じ予算でどちらを選ぶべきかを手助けするための情報を提供してくれていますので、シェアしたいと思います。
ダイナミックレンジ
今回、インタビュー撮影という設定で人物を配置し、窓から強いバックライトが差し込んでいるという環境でダイナミックレンジのテストをしてみた。 C70と1DX MK IIIの画を見せるので比較してみて欲しい。
比較してみて思うことは、二つのカメラの映像はかなり似通った画作りになっているということである。C70の色合いの方が、より現実に近い描写になっている。1DX MK IIIは若干色温度が高めで色の彩度が抑えられた描写になる。(もちろんしっかりとホワイトバランスした上での話になります)
LOGイメージをそのまま比較すると、C70の方が彩度とコントラストが高めだということが分かり易いと思う。
C70がデュアルゲインアウトプット (DGO)センサーを搭載しているせいであろう。 C70の方がダイナミックレンジが広いことが確認できた。
1DX MK IIIのウェーブフォーム モニターを見るとIRE 80以上の明るさの情報は記録できていないことがわかる。
C70はCLOG2記録を全てのコーデック&全てのフレームレートで撮影可能となっている。 対して、1DX MK IIIは5.5K RAW記録時のみCLOG2での記録が可能となっている。
5.5K RAW記録時の画質はとてもクオリティの高いものとなっている。ただし、残念な点は、5.5K RAW記録時のファイルサイズはとても大きいということだろう。 512GBのCFexpress Cardを使用した場合、たった30分ほどの映像しか記録できないことは覚えておきたい。
比較した場合、C70で記録した場合はRAWではないが、高品質の10ビットで1DX MK IIIと同等かそれ以上かもしれないクオリティの映像を長時間記録可能である。
カードへの記録時間の目安
1DX MK III (5.5K RAW記録時)
512GBのカードを使用すると記録可能な時間(目安)
- 24Pで35分
- 60Pで24分
C70 (4K記録時)
512GBのカードを使用すると記録可能な時間(目安)
- 24P IPB(インターフレーム記録)で424分
- 24P ALL-I (イントラフレーム記録)で164分
- 60P IPB(インターフレーム記録)で260分
C70の方が長時間記録できるだけでなく、コンピューターで編集する際にも(1DX MK IIIと比較すると)編集しやすいコーデックとなっている。
1DX MK IIIはRAW記録をしない場合のLOG記録オプションはCLOG1のみとなっている。
1DX MK IIIのCLOG1記録をC70のCLOG2と比較した場合、明らかにC70の方がダイナミックレンジは広く、私の個人的意見にはなるが、肌色の描写もよりナチュラルである。
Canon LUTをあてた後の1DX MK IIIの映像はオレンジに色が偏っていて、正直あまり好きではない。 CLOG1のダイナミックレンジが狭い、と言っているわけではない。 おそらく、他社のミラーレスカメラと比較しても遜色はないレベルではあるが、かと言って突出して優秀でもないというところだろう。
ここから一つの結論が出る。 1DX MK IIIを使用して最大のダイナミックレンジを活かした撮影をしたいならばRAW記録の一択しかない、ということである。そして、編集時にコンピューターにかかる負荷に関しては、どうにかして解決するしかないということになるだろう。
オートフォーカス
オートフォーカスを比較した場合、両機種は得意分野と不得意な分野をそれぞれ持っているようだ。 もし、二つのカメラのどちらのオートフォーカスが気に入ったか聞かれたら1DX MK IIIだと答えよう。1DX MK IIIのオートフォーカスは(C70に比べて)とても簡単に使えて直感的である。 LCD画面を直接タップしてフォーカスするエリアを簡単に変更可能である。
1DX MK IIIのオートフォーカスのパフォーマンスは常に安定している。照明の暗い場所でも問題なくフォーカスを合わせるし、(C70が苦手とする)暗めのスキントーンにもしっかりフォーカスを合わせてくれる。 1DX MK IIIのオートフォーカスで一つだけ不満があるとすれば、それは、FACE ONLYモード(顔限定モード)がないことである。
Canonはオートフォーカスでの顔限定モードを同社のシネマカメラのラインアップのみに提供している。例えばC500 MK IIやC300 MK III、C200は全てこのモードを選択可能である。
C70で顔限定モードを試した映像を紹介しよう。 まずは人物の顔を認識し、追従する。 追従する人物がフレームから外れた場合、フォーカス位置は特に再調整せず、その人物が再びフレームに入ってくるまで同じ位置にどどまる。
1DX MK IIIで同じシチュエーションでのオートフォーカスの挙動をチェックした場合、顔を認識する精度はC70よりも優秀である。 被写体が動いてもしっかりとフォーカスは追従し、その精度は驚くほど高い。ただし、被写体がフレームから外れた場合には、背景に再度フォーカスを合わせようとする。
この挙動は通常の映画撮影等ではあり得ない挙動であり、アマチュアが撮影した印象を与える。
1DX MK IIIのこの挙動を補正するためには、回りくどい解決策がある。被写体がフレームアウトする瞬間にオートフォーカスのスイッチをオフにしてマニュアルフォーカスに切り替えるのである。ただし、C70の顔限定モードのようにスムーズになる保証はない。
ジンバルでの運用
もしこの二台をジンバルに載せて運用するなら、どちらのカメラがよりジンバル向きだと言えるだろうか? 個人的には1DX MK IIIに軍配をあげたい。 その理由は1DX MK IIIはタッチフォーカス機能があるため、簡単にフォーカスを合わせたい被写体を選定し追従可能だからだ。
C70をジンバルで運用する場合の顔検出の精度であるが、私の経験上、被写体の顔が正面を向いていて、照明が十分に行き届いている状態では精度が高いのだが、暗いシーンや、肌色が暗めの人物の場合はフォーカスが迷う現象が起こることが多々あった。
動画撮影時の使いやすさ
二台とも、動画撮影をする時の機能性はとても高いものを持っているが、C70の方がより細かい設定を作り込むことが可能となっている。
C70にはウェーブフォーム表示やゼブラ表示、内蔵NDフィルター、シャッター回角度設定などの動画専用機ならではの機能が詰まっている。
C70は動画撮影を第一に考えられて設計されているため、LCDスクリーンも自由自在に角度調整ができるフリップアウト式である。マニュアルフォーカスの確認をするには決して大きいとは言えないスクリーンだが、オートフォーカスを使用する分には問題ないと思う。
1DX MK IIIを動画撮影に持ち出す時にためらう理由はスクリーンがボディに固定されているため、背の高い私にとっては画面を確認する度に身を屈むことが苦痛であり、ローアングルの映像を撮りたくなくなるという点がある。
付け加えて、CLOG2使用時の適正露出を決めるのが難しく、ウェーブフォームの表示ができないのも、動画撮影をする上ではマイナスだと言えよう。
防塵防滴機能
防塵防滴に関しては、二台ともに防塵防滴の仕様だそうだが、確実に1DX MK IIIの方がしっかりとカメラ内部をプロテクトしているように感じる。 今回、雪の吹き荒れる中、C70と1DX MK IIIを外に持ち出してテスト撮影を行ったが、C70に関しては正直すごく心配をしながら動作を見守っていた。 今回、C70は何の問題もなかったが、今後はリスクを冒すことはないと思う。
高感度ISO使用時のパフォーマンス
今回はあえてISO別のテストをしていないが、以前から度重なるテストを行なっているため、この二台がどのようなパフォーマンスを高感度ISOで見せるのかわかっている。
C70の場合はISO6400までは十分に使用可能だと思っている。
1DX MK IIIの場合は12800まで問題なく使えるだけでなく、25600でも状況によっては使えると思う。
まとめ、あなたが買うべきカメラはどちらか?
もし、この二台のうちの一台を購入予定の人たちは、可能ならば、購入前に両方ともレンタルしてテスト撮影をするべきである。もし、レンタルするという選択肢がない場合は、私なら、このように結論づける。
動画のみを追求するならC70
動画専門で使用する場合はC70をお勧めする。理由はたくさんの入出力端子と内蔵NDフィルターを備えていて、バラエティに富んだコーデックでの記録が可能なだけでなく、素晴らしいダイナミックレンジを保持してくれるからだ。また、ボディは比較的小さいので取り回しもよく、動画撮影用にリグを組むにも適している。
写真も撮影しなければいけないハイブリッドシューターには間違いなく1DX MK IIIをお勧めする。C70で写真が撮れないのは言うまでもない。
また、とても早い撮影スタイルを求められる現場でバリアブルNDフィルターを使うのが苦にならないのならば、オートフォーカスの精度がC70よりも優秀な1DX MK IIIの方が有利な時もあるだろう。 特に速いペースでアクションが繰り広げられ、オートフォーカスの精度が極限に求められる場合、1DX MK IIIのオートフォーカスは期待に十分応えることだろう。
もしドキュメンタリーや長時間記録が必要なコンテンツを制作する場合は迷わずC70を選択した方が良い。 なぜなら、そのために、作られたカメラだからである。
僕の感想
Griffinさんは最後にどちらのカメラが、より特化したスタイルに適しているかを細かく指摘していますが、正直、どちらも一長一短あり、その短所を補うのは、そこまで難しくないのではないかという印象を受けました。 ただし、ハイブリッドシューターが1DX MK IIIを選ぶのはもう、必然的なことであるとも感じましたし、C70はタイムコードの入出力を備えていることから、チームで映像を作るときなどにも威力を発揮すると感じ、適材適所をどのように認識するか、作り手の機材のチョイスもこれからは能力の一つとなっていくことだけは確かだと確信しました。