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最近、Youtubeをみているとカメラギアーをレビューする人たちの注目が完全に
Canon C70 VS RED KOMODO VS Sony FX6
に絞られていて、2020年の年末に発売されたこの三機種の充実した機能と比較的安価(?)に抑えられた価格設定のバランスは当分、映像業界、特にフリーランサーやハイレベルな個人での運用を見据えたユーザーたちの注目を集めることでしょう。
そして、この3機種を比較する時に、力関係を変えてしまう機材があるとすれば、CanonがC70専用に開発、設計したC70用RFマウント対応、EFレンズ用0.71X スピードブースターと言えるでしょう。(価格は現在、税込で8万8千円になります)
当初、このスピードブースターは出荷がC70本体よりも遅れる可能性もあり、実際のレビューが出てくるまで時間がかかると思われましたが、既にいくつかのレビューが出回っていて、C70につけた場合のテストだけでなく、EOS-R、RED KOMODOにつけた場合の挙動を確認するテストまで出てきてますので、ご紹介したいと思います。
目次
- C70で使用した場合の実際の挙動を詳しく比較したテスト
- ISO 1600 F1.4での撮影時
- フルフレームカメラと比較した場合の被写界深度の違い
- スピードブースターを使用した場合の優位性
- スピードブースターを実際に装着した時の印象(物理的な部分)
- オートフォーカスのテストで判明したこと
- EOS Rと組み合わせて使えるか、テストした人がいます
- 純正でないといけないのか? Metabones社のアダプターは?
- Canon EOS Rシリーズ用スピードブースターのオートフォーカスの仕組み
- RED KOMODOでこのアダプターは機能するのか?
C70で使用した場合の実際の挙動を詳しく比較したテスト
Griffin ConwayさんはCanonのプロフェッショナル用シネマカメラをたくさん所有していて、Canon C200やC300 MK III、C500 MK IIの動画をたくさん作っています。 今回、GriffinさんはC70とスピードブースターを使用して、実際の現場でこのアダプターがどのようなパフォーマンスを発揮するのかを知るためのテストを行なっています。
動画の中ではEOS CINEMA カメラの中でも上位機種に位置づけされたフルフレームセンサー搭載のC500 MK IIとの比較を行うことで、C70をアダプターをつけて運用した場合にどれくらい、フルフレームに近い画角で撮影できるのかをわかりやすく教えてくれます。
Griffinさんはこの動画の中で、主に3つの画角テストを行なっています。
1) C70 + CANON .71 スピードブースター使用時の画角
2) C70 + CANON EFからEOS Rの通常のアダプター使用時の画角
3)フルフレームカメラである、 C500 MK IIの画角
Griffinさんは全てのカメラで同じ設定(ISO、ホワイトバランス、同じレンズ&同じ絞り)で撮影することで違いを確認しています。 もちろん、同じ三脚を使用し、同じ撮影位置から撮影していますが、C70はC500 MK IIに比べてボディが若干長いため、微妙にレンズ装着位置がずれている可能性がありますが、基本的には問題ないレベルで比較しているとのことです。
ISO 1600 F1.4での撮影時
C70の色合いがC500 MK IIに比べて少しだけマゼンタに偏る傾向があるとのことです。また、スピードブースターを使用した場合、C70の方が1/3ストップ明るく映るとのことです。
この色合いと明るさの違いを補正するために、C70の設定でグリーンを+1に、そして露出を-0.2にするとしっかりマッチングする映像になりうるとのことです。
C70とC500 MK IIのスキントーンを比較してみても若干の違いがあるそうです。C500 MK IIの方がハイライト部からのロールオフが滑らかだとのことです。(輝度が最大の部分から色乗りする部分への移り変わりの滑らかさをハイライト ロールオフと呼んでいます)
フルフレームカメラと比較した場合の被写界深度の違い
全く同じ設定にした場合、C500 MK IIの方が被写界深度は浅くなるという結果が出ています。
Griffinさんは動画の中でこう伝えます。
私は科学者でもなんでもないため、なぜこのような被写界深度の違いが起こるのかわからないが、実際にC500 MK II (あるいは他のフルフレームカメラ)との被写界深度のマッチングをするためにはC70の絞りを1ストップ開ける必要がある。
(ただし、これに関しては、コメント欄からの指摘により、実際にはスピードブースターがFストップ値を明るく報告しているために起こるエラーだとの指摘があり、Griffinさんも同意しています。 つまり、実際には、レンズの絞り具合は違う状態で撮影しているにもかかわらず、スピードブースターがカメラに伝えるFストップが全く一緒であるために、被写界深度の表現にも反映しているということです) ※わかりにくければコメント欄で教えてください、また説明し直します
GriffinさんはC70の通常のRFからEFへのマウント変換アダプターを使用した時と比較しても、同じFストップで撮影した場合、被写界深度に違いは現れるということです。(理由は上記の説明と同じだと推測します)
スピードブースターを使用した場合の優位性
Griffinさんはスピードブースターを使用した場合の一般的な優位性というのは、画角が広めになること(このアダプターの場合は0.71倍広角側で撮影可能)、そしてFストップが一絞り分明るく撮影できることだとしています。 これに関しては、昔、記事を書いてますのでご興味おありならばお読みください。
Grrifinさんは動画の中で50mm F1.2のレンズを使用してその効果を確認しています。
このレンズをスピードブースターで使用した時にはFストップは0.9まで開けることができる。(注:あくまで、カメラ側の認識です)
つまり、(C500 MK II)などと比べても、同じ明るさで撮影しようと思った時にISOを一段分落として撮影できるために低照度での撮影に効果を発揮することになるだろう。
スピードブースターを実際に装着した時の印象(物理的な部分)
物理的な部分で、装着時の印象はとても良い。装着後にあそびの部分は全くなく、かなりしっかりした装着感がある。 もし、それでも気になる人には、このアダプターは4つのネジ穴を使ってしっかり固定するというオプションも用意されているので、大きなレンズやフォーカスモーターを使用する時にはお勧めしたい。
このようなしっかりした固定をする時は重量が重くなることも頭に入れておいた方が良い。個人的にはC70は軽すぎて、手持ち撮影時のブレが気になっていたので、少しくらい重量が増したほうがしっくりくる。
オートフォーカスのテストで判明したこと
Grffinさんがテストした限りでは、オートフォーカスのパフォーマンスに関しては通常の純正アダプター使用時との違いは見つけられなかったとのことです。
最初の発表時にこのアダプター経由でのオートフォーカスに対応するレンズは3つのみとなり、他のレンズは順次対応するとのことでしたが、ここでいうサポートに関してはレンズ周辺の湾曲収差や色収差の補正に対応している、ということだそうです。
公式対応が発表されている3つのレンズ
オートフォーカスに関しては、公式にサポートされていないCanonレンズもGriffinさん所有のものに関しては問題なく動作したとのことです。
(SIGMAやTAMRONのレンズに関してはテストしていないのでわからないとのことです。もし、試した方がいらっしゃりましたら教えてくださいませ)
C70ユーザーの皆さん、(あるいは購入をためらっている皆さん)これは朗報ではないでしょうか?
Griffinさんはこう締めくくっています。
とても驚いたことに、このスピードブースターはRED KOMODOでも問題なく動作することを発見した。 KOMODOはハイスピード撮影時にセンサーをクロップすることで知られているが、このアダプターを使用することで、クロップ分を補正可能になると思う。 RED KOMODOで24P、40P撮影する時には、スーパー35ミリセンサーからフルフレームの画角を得られるし、60P撮影時にも、スーパー35mmセンサーの画角で撮影可能となる。 これはかなり有益な使い方になるのではないか?
RDD KOMODOのスロー撮影時センサークロップに関しては、下記の記事をご参照ください。
RED KOMODOとの比較に関する動画は他にあるので、この記事の最後をお読みください。
EOS Rと組み合わせて使えるか、テストした人がいます
YoutubeチャンネルのmyJTPでは、実際にCANON EOS RとCanonのスピードブースターを試していますので、こちらの結果も一緒に見てみましょう。
EOS Rはキャノンが最初にフルフレーム ミラーレスに足を踏み込んだ時に投入されたカメラで、根強い人気を博してますが、4K撮影時にスーパー35ミリに画角がクロップされてしまう点が残念な点ではございました。 そこで、このアダプターを使用すれば、フルフレームの画角で4K撮影ができてしまいうのではないか? ということになります。
まず、最初にレンズアダプターを装着したときに、カメラ上にメッセージが現れます。
メッセージの内容はファームウェアはこのアダプターをサポートしていませんという内容になります。
が、全く問題なく使えるので、心配しなくても大丈夫、と動画では言っています。
(動画テストは26秒あたりから見ることができます)
動画を見た限りでは、オートフォーカスも問題なく機能しているようです。(実はこの動画自体がEOS Rとスピードブースターを使用して撮影されていて、動画の最後の部分にで撮影者本人がオートフォーカスがしっかり機能することを確認しています)
通常アダプター使用時との画角の比較
EF 16-35mm F2.8 (mk3)のレンズを使用した場合のワイド端でのビネットが生じるかどうかのテストも行われていますが、問題ないこともテストで判明しています。
$599(日本では税込8万8千円)でこのクオリティのアダプターが手に入るのは、かなりお得だと言えそうだ。 EOS Rの4K撮影時クロップファクターは1.7倍ほどだが、このアダプターを使用することで、フルフレームカメラである1DX MK IIと同じ画角で4K撮影が可能となるのだから。
純正でないといけないのか? Metabones社のアダプターは?
スピードブースターの元祖であり、老舗ブランドであるMetabones社は早くにしてEFからRFマウント用の0.71倍スピードブースターを発売していました。 その性能に関しては下の動画のPotato Jetさんが紹介しています。
簡単にまとめると、Metabones製のスピードブースターはEOS Rで使用した場合、オートフォーカスも、レンズ側の手ぶれ補正もしっかり機能します。 もちろん、デュアルピクセルオートフォーカスもしっかり機能します。
(ちなみに、EOS Rに装着した場合の4K撮影時クロップファクターは1.24になるとのことです)
このオートフォーカス等のレンズとボディ間のコミュニケーションが円滑な理由については僕の書いた過去のブログにMetabonesの開発エンジニアからの直接の説明がありますので、引用したいと思います。
Canon EOS Rシリーズ用スピードブースターのオートフォーカスの仕組み
EOSHD: キャノンのEOS RとRP用に開発されたスピードブースターは4K撮影時のクロップモード(使用時に1.24倍 R そして1.15倍 RP)を解消してくれるわけだけれども、その代わりにオートフォーカス性能は犠牲になっているのかな? それともキャノンのEFレンズのデータをRFボディにスルーで伝達してスピードのロスはないの?
Metabones: 焦点距離、絞り、オートフォーカスのメタデータは修正されてボディに伝わるようになっている。 焦点距離の要素は今後キャノンがIBIS(ボディ内手振れ補正)機能を搭載する時にとても重要になってくる。 オートフォーカスのパフォーマンスについては一切心配することはない。なぜなら、情報自体がキャノンからキャノンへのダイレクトな転送だから。 正直、手持ちで素早く撮影する時にデュアルピクセルオートフォーカスはとても重宝される機能だと思う。そして、たくさんのユーザーがRFレンズではできない4Kフルフレーム撮影を望んでいて、EFレンズと我々のMetabones Speed booster Ultraで撮影をしていることに驚いている。売り上げは予想していたよりもはるかに上回っている。こういうニッチな製品はわかんない人には一切理解されない、でも本当のプロ達はこういう細かいところで差をつけるものなんだ。
下のリンクは元記事になります。
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RED KOMODOでこのアダプターは機能するのか?
Canonが発表した時に、このアダプターはC70専用と言っていましたが、実際にはEOS RやRED KOMODOにも使えることが、判明しました。 下の動画はRED KOMODOでのテストを行なっています。(テストチャンネルはVulcanworx Productions)
このチャンネルでも、Griffinさんと同様にRED KOMODOとCANON C70を同時に運用しているようです。 この2機種はFX6よりもYoutube内での評判は良さそうですね。 FX6のポジティブなレビューの登場を期待したいところです。
さて、テストの結果ですが、オートフォーカスのテストをメインでしていますので、気になる方は短い動画なのでご覧になられてください。
テストはEF 24-70mmレンズを使用して焦点距離50mm、F2.8でのオートフォーカスの挙動をスピードブースター使用時にC70とKOMODOの両方で試していますが、オートフォーカスに関しては、ほぼ問題ないレベルで使用可能だということが、動画を通しておわかりいただけることと思います。
C70とKOMODOのスピードブースター装着時の画角の比較
C70とKOMODOはセンサーサイズが若干違います。KOMODOの方がセンサーは大きいため、画角も若干広めに撮影できるようです。
使用しているレンズはMeike FF 35mm T2.1です。
スピードブースターの開発、販売を大手カメラメーカーであるCanonが始めたということは、今後、MetabonesやFringer、K&F conceptやVitroxなどのレンズアダプターメーカーにどのような影響を与えるのか、気になるところではございますが、純正ならではの安心感に他社がどのように対抗していくか楽しみです。
この分野の開発が更に活発になっていくことを期待しております。
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