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目次
- はじめに
- 今回リストに追加されたカメラ
- Netflixに認定されていないカメラの代表例
- Netflix認定に必要な最低限の機能
- そして必要となるもう一つの重要な機能
- Netflix認定カメラの使用は、自主制作や低予算での作品作りにどのような影響があるのか?
- まとめ
はじめに
皆さんはNetflix認定のカメラという言葉を聞いたことはありますか? 下のリンクに各メーカー別に認定されたカメラの機種と、認定されるための条件等、詳しいことが書いてますので、興味のある方は一読してください。
説明部分を抜粋します。
カメラと画像キャプチャ
認定済みカメラ:
最終的な完パケの総尺に対して、90%以上は認定カメラで収録されている必要があります。ドキュメンタリー番組のしきい値についてはより自由度があります。要件を満たすことが難しい場合は、Netflixのプロジェクト担当者と打ち合わせを行ってください。
以下は、最低解像度および下記の収録要件を満たしているカメラの一覧です。新しいカメラの評価を行うたびにこのリストは継続的に更新されます。
今回リストに追加されたカメラ
今回、上で述べられているリストに新しいカメラが追加されています。特に最近発売されたCanon C70、Panasonic BGH1、Sony FX6、RED KOMODOがこのリストに追加されたことは、これらのカメラを購入した新しいオーナー達にとっては吉報だったと言えるでしょう。各カメラの機能やレビューは下記のリンクを参照してください。
ここで特筆すべきは、PanasonicのBGH1が認定されたことでしょう。 その理由として、マイクロフォーサーズセンサーを搭載したカメラとしては初になるということ、そして最安価格での認定カメラになったということであります。
さて、以下はNetflixに認定されるためのカメラの要件と、それらのカメラで撮影する場合の注意点を抜粋しています。 これを読むと、結構細かく指定してくるな〜、と若干呆れてしまいます。
カメラの要件
注:以下の要件を満たしていても、全てのカメラがプライマリカメラとして認定されるわけではありません。ここに記される要件は最低条件であるとお考えください。それ以外にも、ダイナミックレンジ、フォームファクター、安定性、ワークフローとの互換性など様々な特性が考慮されます。
解像度要件:
- 真の4K UHDセンサー (3840ピクセル幅以上のフォトサイト) がカメラに搭載されていること。
収録要件:
- 収録形式
- 収録変換関数
- S-Log3, Log-C, V-Log, Log3G10等
- 収録カラースペース
- S-Gamut3.cine, RED Wide Gamut RGB, Alexa Wide Gamut等
- ルックやカラー補正をオリジナルカメラファイルに焼き込まないこと。
- ファイルは、すべてのメタデータ ( テープ名、タイムコード、フレームレート、ISO、WB等) を維持していること。
ブラックバランスの調整:
- カメラセンサーのブラックバランスの調整機能がある場合は、毎日、通常のカメラの動作温度下にて実施すること。 特定のブラックバランス調整に関する詳細は、カメラの操作マニュアルを参照のこと。
- アスペクト比が2.00:1を超える場合は、Netflixと検討および協議の上承認を得ること。
- フレーミングチャートは、本撮影開始前に必ず撮影し、編集、ポストプロダクション、VFXと共有されるデイリーのパイプラインを通して処理すること。
アナモーフィックレンズ:
- アナモーフィックレンズの使用を検討している場合は、収録時に十分な解像度が得られるカメラを選択すること。詳細や懸念事項についてはNetflix担当者までご連絡ください。
サブカメラ:
- メインカメラ以外のカメラ (クラッシュカメラ、POVカメラ、ドローン、水中カメラ等) の使用については、Netflixの承認を得ること。
- 認定外のカメラで撮影された素材は、認定外収録用に割り当てられた尺内に使用を収めること。割り当ては最終的な編集に使用されたコンテンツの尺を元に計算するので(シリーズの場合は1話単位)、収録した尺を計算するわけではない。
- テスト映像を撮影し、メインカメラとの整合性を確認できるよう、デイリーとポストプロダクションに提供すること。
分割されたクリップ:
- カメラが分割してクリップを収録する(1つのテイクを複数のカメラカードに跨いで収録する)方法は非推奨。この方法で収録する明確な理由がある場合以外は使用不可とする。
さて、上記のリストに惜しくも認定されてないカメラはどんなカメラでしょうか?
Netflixに認定されていないカメラの代表例
Sony α7S III、BlackMagic Pocket Cinema カメラ 4K & 6K、Canon C200
先ほどの認定のための条件をかなりシンプルに要約すると下記のようになります。
Netflix認定に必要な最低限の機能
- 解像度がUHD以上で記録可能
- 16ビットリニアRAW記録、もしくは10ビット 422 Log記録
- イントラフレームコーデック
そして必要となるもう一つの重要な機能
- タイムコードIN & OUT
このタイムコード入出力機能の条件を満たしていたためにNetflix認定リストに選ばれたカメラの代表格がPanasonic S1Hとなります。
Netflix認定カメラの使用は、自主制作や低予算での作品作りにどのような影響があるのか?
上の動画のJames Jackson FilmsのJamesさんはC70がNetflix認定カメラになったことを歓迎しながらも、こう述べています。
C70が発売された時にBNCスタイルのロック機構を持ったインターフェイスがSDI出力ではなく、タイムコードの入出力機能用として装備されたのは正にこのためであったと私は最初から感じていた。
さて、この発表を見ながらBMPCCユーザーや、α7S IIIユーザーはがっかりしたかもしれない。 でもその必要はない。 今から説明しよう。
Netflixが設定したこのリストはほとんど意味がない。
このリストが重要になってくる条件はとても限られていると言っていい。
その条件は以下の通りだ。
つまり、Netflixから撮影のための資金を提供されていない人たちにとってこのリストは何の意味もない。
もし、目的が「Netflixで自分の映像作品を見せる」ことならばCanon 5D MK2やSony α6300、Panasonic GH4で撮影しようが何ら問題はない。
JamesさんはNetflixに自分の作品を認めてもらうためには、いろいろな条件があるとして、以下の方法のいずれか、あるいはいくつかを最低限満たす必要があると考えています。
1) Netflixで働く人と直接的な面識を持っている。
2) 世の中に認められる作品を作る (映画祭などで作品が認められる)
3) ストーリーやメッセージがしっかりと伝わる作品作りを徹底している
繰り返しになるが、Netflixから予算をもらって映像作品を作る時に「Netflix認定」のカメラを使う必要がある。 しかし、実際に予算が与えられた場合、(自主制作などの時と比べると)金額の桁が全く違ってくること(一億円以上がほとんど)を認識しておくべきである。 大きな予算を与えられた場合、果たしてPanasonicのS1Hをメインカメラで撮影するという決断をするだろうか? 通常はArriflexやRED (あるいはSonyのVENICEやPanasonicのVaricam)で撮影する事になるだろう。
ただし、コロナ渦で映像制作に当てられる予算が縮小する昨今、C70やS1Hなどの比較的手ごろなカメラを選択可能ということは素晴らしいことではある。
長くなってしまったが、要は、作りたい作品があるならば、どのカメラで撮影しようか悩むのではなく、今、自分が手に入れることが可能なカメラで、とにかく撮り始めることである。作品のストーリー、演技、などに時間を裂く方がよほど有効であると私は考える。
Netflix認定カメラ、この言葉に惑わされないように注意したいですね。
まとめ
- 最近発表されたシネマカメラが続々とNetflix認定カメラに指定されている
- それら(特にPanasonic BGH1)は比較的低価格で個人で所有可能なカメラである
- どうやら、認定されるために、タイムコードの入出力機能はとても重要である模様
- Netflix認定のカメラで撮影することはNetflixに作品が掲載されることとイコールではない
- Netflixが出資する作品を撮影する時のみ、このリストに従ったカメラの選定が必要
- どのカメラで撮影しても、Netflixに作品が掲載される可能性は充分ある
- その場合、作品の内容とクオリティが、使用したカメラの型番よりも遥かに重要である
- よって、自主制作をしている人たちにとって、このリストは全くと言っていいほど意味がない
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