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先日、一眼カメラの歴史に残るであろうキャノンの発表がありました。
目次
- 特にEOS R5の性能は特筆すべきものがあるのですが、僕が考える魅力は以下の4点です。
- EOS R5のその機能、本当に必要ですか?
- RAW動画で呑気にVlogするZeekさん
- マジックランタンとは?
- 進化したマジックランタン
- APS-Cセンサー搭載のRAW動画記録可能なシネマカメラ
- EOS M 14ビット RAW シネマカメラのテスト撮影サンプル
- EOS M2 14ビット RAW シネマカメラのテスト撮影サンプル
- マジックランタン RAW映像のポストプロダクション ワークフロー
- EOS R5をこのカメラの五十倍のお金を払って買う価値があるのでしょうか?
特にEOS R5の性能は特筆すべきものがあるのですが、僕が考える魅力は以下の4点です。
- 8K RAW / 4K 120fps などの高解像度、高フレームレート、高ビット深度記録をボディ内で記録可能
- ボディ内手ぶれ補正内蔵
- 最新のアルゴリズムを搭載したデュアルピクセルオートフォーカス
- 上記の機能を携帯性に優れたサイズとバリアングルモニターなどの機能的なデザインで仕上げたボディに詰め込んでいる事
さて、販売価格は45万とも50万とも言われていますが、その金額が出せない人たち、あるいは無理してでもその金額を捻出して購入したい人たち(例えば僕)に改めて問いたいことがあります。
EOS R5のその機能、本当に必要ですか?
はい、挑発しているわけでは決してございません。 いやむしろ、挑発してしまったのなら大変申し訳ない。 でももう一度聞きます。
その機能、本当に本当に必要ですか?
あー、もう怒ってしまった方々もいらっしゃるでしょうね、もう本当に自分ったら。
でもこの疑問、上でも書いてますが、自分に対する質問でもあるんですよ。
というのもEOS R5の1/50の価格で手に入れる事のできる同じキャノンのとあるカメラにはまっている最中だからなのです。
そのモーメントは急にやってまいりました。 僕が所有していたSonyのFS5を36万円で売り払い、他に所有していたありとあらゆる機材を売り捌きながら、来たるEOS R5の発売日に万全の準備を整えていたその時です。
RAW動画で呑気にVlogするZeekさん
見つけてしまったのです。 YoutubeにアップロードされていたZeekさんの動画を。皆さんも是非今すぐにブラウザの検索欄に「Zeek Eos M]と打ち込んでみてください。
そのZeekさんがせっせとアップしている動画はほとんど全てRAW動画、キャノンのマジックランタンというファームアップ改造を使った動画だったのです。
マジックランタンとは?
有志のハッキング集団が作ったキャノンの特定の機種に特化したファームウェア改造のことで、この改造をすることでRAW動画が撮影できるようになったり、解像度がフルHD以上で撮れるようになったり、ヒストグラムやウェーブフォームなどのモニタリングができるようになるという、とても便利なものなのです。
マジックランタン と聞いた時にふと思い出されたのは今から遡るも12年前、5Dmk2を買った僕が24フレームで撮影できるファームアップ改造があることを海外のサイトで知り、速攻でダウンロードして使った時のことでした。 断言しましょう。 日本で一番最初にマジックランタン を使ったのは僕です。 (異論がある方はどうぞ名乗り出てください)
(中野のフジヤカメラでマジックランタン改造した5Dmk2を店員さんに見せたら、びっくら仰天こいてたのを思い出します)
なので、マジックランタンの事は知っているつもりでした。
5Dmk3で美しいRAW動画を撮影できることも。 しかも3.5Kで撮影できるようになることも。動画機能を搭載していなかった50Dでなぜか動画が取れるようになる事も。キャノンさんがいろんな機能を小出しにして、我々消費者を小馬鹿にしている事も…
Zeekさんの動画を見るまでは
進化したマジックランタン
僕の知っている限りではマジックランタンは素晴らしい機能を提供してくれるけれども、不安定で、録画できる時間もカードのスピードによってまちまちだったりでした。つまりVlogで気軽に使えるような代物ではなかったのです。 更に、RAW動画が撮影できるようになったとしてもファイルの重さ、ワークフローの複雑さから実用レベルではなく、実験レベル。業務レベルではなく、プライベートな用途での使用に限られると思っていました。
でも、時は過ぎ、パソコンのスペックはムーアの法則通りに倍々ゲームで進化し、RAW動画のワークフローも敷居がかなり低くなり、何よりも何よりも、マジックランタンで撮影した動画を現像するためのソフトウェアが充実してきていたのでした。
引っ張りましたが、ZeekさんがVログ撮影にメインで使用している、しかも5台も持っているカメラがこのカメラです。
APS-Cセンサー搭載のRAW動画記録可能なシネマカメラ
EOS M、そしてアジア圏だけで発売された模様のEOS M2はいずれもヤフオクやメルカリで1万円で買えます。 はい、ほぼほぼ相場は1万円こっきりです。たまに9千円にまけてくれる人もいます。 このとっても小さなミラーレスカメラですが、マジックランタンでのファームウェア改造をすると1736x976の解像度で14ビットのRAW動画をSDカードの容量が尽き果てるまで連続撮影可能になります。(128GBのカードで大体1時間くらい記録できます)
他にも、クロップモードでの2.5K、3K、5Kの動画を限定的にですが撮影できるようになり(この機能は今のところEOS M限定)、デュアルISO設定によるHDR撮影も可能になります。
さて、僕も一時所有していたブラックマジック社のポケットシネマカメラがRAW記録できる小型カメラというと思い出されるかもしれませんが、こちらはいかんせん、センサーサイズが小さすぎました。(それでもこのカメラを使って撮影された映画がたくさんあるのも事実ではあります)
対する、EOS MはAPS-Cセンサーを搭載しており、他のキャノンの一眼レフと違い、ミラーレスなのでアダプター経由でスピードブースターを追加する事でフルフレームに近い画角で撮影することができるようになります。 スムーズではありませんが瞬時にオートフォーカスを合わせてくれる事もできるのです。 そんなカメラを1万円こっきりで買って、カジュアルに使いこなしているZeekさんに衝撃を受けた僕は早速メルカリとヤフオクで二台のEOS M2と一台のEOS Mを購入、実験撮影してみました。 下の映像がサンプル映像になります。
EOS M 14ビット RAW シネマカメラのテスト撮影サンプル
上記映像、言い訳にはなりますが、全て手持ちでスナップショットのように撮影しています。
EOS Mの形状、サイズ感から三脚を持って本格撮影という感じではなかったのですが、Davinciでスタビライズすることでほぼほぼ安定していると思います。
また、炎天下で明るすぎたのでNDフィルターを持っていなかった僕はF値 22で撮りっぱなし、ピントリングは一切回さないというズボラさでした。(なので、実際はピンボケ映像がいくつかあったので、これからは気をつけようと思います)
上の映像がSlogプロファイルにコンバージョンしてカラコレしたもので、下の映像がCdngに書き出してDavinciで読み込み編集したものになります。まだ、カラコレ用のマスモニも準備しないまま、なんとなくでカラコレしてますのでお許しください。
EOS M2 14ビット RAW シネマカメラのテスト撮影サンプル
上の動画は友達と吉祥寺で待ち合わせをした際に日没前の30分ほどを利用してサクッと撮影したRAW動画になります。
(そう、手持ちでサクッと撮影できるとっても手軽なRAWシネマカメラです)
マジックランタン RAW映像のポストプロダクション ワークフロー
カラコレといえば、マジックランタンで撮影した動画はポストでの処理はどうするの?という疑問も湧くと思いますが、ここに最強のアプリ MLV APPが存在するのです。
このアプリを使うことで、アプリ上でカラコレする事も、Logのカラースペースに変更する事も、CdngやProRes 4444の4Kにアップコンバートして書き出す事も可能なのです。 まさか、こんな安定性抜群のアプリがあったなんて考えてもいませんでした。 詳しくはまた記事をアップさせていただきます。
さて、本題(?)に戻ります。
EOS R5をこのカメラの五十倍のお金を払って買う価値があるのでしょうか?
簡単に自己中的に比較をしてみましょう。
1) 撮影解像度とフレームレート
EOS R5は8K撮影ができます。なので、R5の圧勝、という事になりますよね、普通。
でもよく考えてください。8Kの映像をどこで使うんですか?
WEBやスマートデバイスで見る際には8KとHDの違いが分かる人が果たしてどれくらいいるのでしょうか?
しかも8K RAWを編集するマシンのスペックはどれくらいのお金を払ったら準備できるのでしょう?
ちなみにEOS R5の8K RAWの映像は1TBのカードに51分記録できます。
1TBのCfastカードは10万円から高いものだと20万円くらいします。
僕は今メディア保存用として、USB3対応のハードディスク2TB、超高速のSandisk製500GBのSSDを三つ、昔から使っているUSB2対応の600GBのハードディスクが三つあります。
EOS R5の映像を保存するには最低でも10TBの超高速保存媒体が必要だと思われます。何故なら、編集時にハードディスクのスピードがボトルネックになりコマ落ちすることもあるからです。また、レンダリングファイルが膨大になることから撮影素材の何倍もの容量を確保しておく必要があるからです。(まあ、ご存知だとは思いますが、念のため)
対して、EOS M用に僕がメルカリで3500円で購入したSandisk Extreme Pro 128GBのカードには1時間ほど、連続記録ができました。(編集用にSSDを追加する必要はあまりなさそうです)
聞くところによるとEOS R5は20分ほどでオーバーヒートするそうですね。 そのような不安定なカメラを業務用に使うことは不可能だと思われます。そう、マジックランタン改造したEOS Mの方が安定性があるのです。
ちなみに、4KにアップスケールしたEOS MのRAW動画はとても高精細で綺麗です。 EOS R5の実用上の解像度が4Kだとすると、解像度の面でR5が持つ優位性はあまり多くはないようです。
ハイスピード記録はEOS R5の圧勝です。 ただし、こちらもオーバーヒートしたり、ファイルサイズが膨大だったりするわけですが、そこが魅力なのでしょうがないですよね。
2) カラーグレーディングの柔軟性
一般的にビット深度が深ければ、色補正の幅と柔軟性が高まると言われています。
そう考えたら、14ビット記録のEOS Mが最大12ビット記録のEOS R5に圧勝です。
画質を語る時に、解像度が良ければ良い、みたいな風潮がありますが大間違いでして、センサーのダイナミックレンジ、記録カラービット深度とセットで語られないと意味がないのです。
3) フルフレームファクター (クロップファクター)
フルフレームの方が映像がボケみが出て良いという話をよく聞きます。
僕もそう思います。 しかしAPS-Cとフルフレームとなればボケ味に関してはどうにでもなるレベル、そう思います。 実際のところ、一昔前の映画、(今でも?)はスーパー35mmnのフィルムだったり、デジタルセンサーから産み出されているのです。 EOS Mはスピードブースターをつければフルフレームに限りなく近い画角で撮影できるので、この部門は引き分けでしょう。
4) 手ぶれ補正
EOS R5は強力なボディ内手振れ補正を搭載しています。 なのでR5の圧勝です。
ただ、 EOS Mをジンバルに乗せればスムーズな映像が撮れるようになります。
なので、動画撮影時の手ぶれ補正という点では強引ですが引き分けとさせていただきます。
5) 値段
EOS Mの圧勝です。
6) サイズ
これは意見の分かれるところでしょうか。 小さいから良いというわけではなく、両機ともに決して大きくないという点から、持ち運びに便利なのはEOS M、ホールド感という点ではR5でしょうか。
7) オートフォーカス
デュアルピクセルオートフォーカス採用のEOS R5の圧勝です。こればっかりは逆立ちしても勝てません。 ただし、通常の映像撮影でオートフォーカスに頼る現場というのはまだ多くないと思いますし、シネマカメラとして運用する場合はフォローフォーカスシステムを使用すれば良いわけで、オートフォーカス性能で劣ることがシネマカメラとして劣るかというと断言はできません。
勝敗のトータルは別として、EOS Mが最新鋭の今年最大の目玉とも言われる一眼カメラと比較してもボロ負けではないのはお分かり頂けるかと思います。
特に学生映画、アート映画、自主制作映画、ZeekさんのようにVlogなどの分野ではあまりにも安く、かっこいいこのカメラは見逃されるべきではないのかと思います。
今後、需要があればYoutubeやこのブログでマジックランタン とMLV APPに関して情報を提供していきたいと思ってますので、気が向いたらコメントください。 このブログ、まだ誰からもコメントもらえてないのです。
よろしくお願いします!