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α7S IIIのデュアルネイティブISOをPhilip Bloomが分析

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とても面白いビデオがPhilip Bloomさんのチャンネルから上がっているのでご紹介します。

 

今回はGerald Undoneさんのα7SIIIのレビューで話題になったデュアルネイティブISOに関してPhilip Bloomさんが突っ込んだ調査をしていますので、一緒に検証してみましょう。

 目次

 

前回のレビューで確認したこと

Philp Bloomさんは前回のレビューで明らかにSonyのα7SIIIのセンサーがデュアルネイティブISOと同じような特徴を持っていると結論づけていました。(以下、前回の記事から抜粋します)

とても興味深い事に、私の良き友であるGerald Undoneが彼のレビューでデュアルネイティブISOの可能性を示唆した。 ISO 640/ISO 16000のデュアルだと伝えているので、一応テストしてみた。(動画1:08:29くらいから要チェックです

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カメラ内記録 ISO 12,800 拡大400%

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カメラ内記録 ISO 16,000 拡大400%

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ProRes RAW記録 ISO 12,800 拡大400%

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ProRes RAW記録 ISO 16,000 拡大400%

Geraldと同じようにノイズリダクションの可能性を考慮してRAW記録でも撮影してノイズレベルを比較したが、両方のテストで明らかにISO16,000でノイズが激減し、クリーンな映像になっている。

 

Sonyに問い合わせたところ、ディアルネイティブISOに関しては否定されたが、なぜ、このような現象になるのかの説明は受けることはなかった。

 

なお、Sonyによると出荷モデルに関してはこのノイズの変化が起こるISOが若干シフトするだろうとのことだった。(例えば16,000の代わりに12,800でノイズレベルが変わるとか?)

 

このノイズレベルの変化はSLOG2とSLOG3のカラープロファイルでの撮影時のみ起こる現象である。

 Philipさんの手元に注文したα7S IIIが到着したみたいで、今回、出荷モデルでのデュアルネイティブISOの現象をテストしています。

SonyはデュアルネイティブISOという表現を絶対に使おうとしないが、私がレビューした時に確認できたのは、確実にセンサーが一定のISOまで上がった状態でA/D(アナログ / デジタル)コンバーターを切り替えていることから、実質的にこのカメラはデュアルネイティブISOの特性を持っていると断言する。

 

Sonyは私からの問い合わせに対して、プロダクションモデルでは「デュアルISOの切り替わるポイントが変わる」と教えてくれたので、ここでみんなの前でテストしたい。

 

今回、プロダクションモデルのテストで判明したのはS-Log2とS-Log3での回路の切り替えは、レビューをした時よりも早く起こるということである。

 

レビューモデルではISO12,800までのノイズレベルがISO16.000で急にクリーンになることを確認したわけだが、

プロダクションモデルではISO10.000までのノイズレベルがISO12,800に切り替えると急にクリーンになることが判明した。

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テストでは真っ暗闇の状態で記録してノイズの出現を探知しやすくしています

Philipさんはα7S IIIで真っ暗闇の画像を記録し、編集ソフトのPremiere Proで露出を5ストップ分引き上げ、更にシャドウ部分を100%持ち上げることによってノイズの出現をよりわかりやすい状態にしながら比較を行っています。

S-Log3のベースISOは640であるため、私はそのISOを1段分ずつ持ち上げながらノイズの増加を確認した。

 

私がここで発見したことは、最初のベースISOから4ストップ分まではベースISOは変わらず、その次のISOでA/Dコンバーターの回路が切り替わり二つ目のベースISOに移行するということだ。

実験:S-Log3

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S-Log3 Base ISOの640でのノイズレベル

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S-Log3 ISO1,250(1ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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S-Log3 ISO2,500(2ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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S-Log3 ISO5,000(3ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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S-Log3 ISO10,000(4ストップ上げた状態)でのノイズレベル

ここまでが、4ストップ分のISOの上昇に伴うノイズレベルの増加でした。Philpさんの仮説が合ってる場合は次のISOでノイズレベルはクリーンになるはずです。

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S-Log3 ISO12,800(4ストップ分上げた状態の次のISO)でのノイズレベル

Philipさんは他のモードでもこの現象を確認してますので、ご確認ください。

 

実験:HLG (ハイブリッド ログ ガンマ)

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HLG、ハイブリッドログガンマでの実験です

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HLG Base ISO 100でのノイズレベル

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HLG  ISO 200 (1ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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HLG  ISO 400 (2ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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HLG  ISO 800 (3ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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HLG  ISO 1,600 (4ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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HLG ISO 2,000 (4ストップ分上げた状態の次のISO)でのノイズレベル

実験:Cine2

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Cine2での実験です

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Cine2 Base ISO 50でのノイズレベル

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Cine2  ISO 100 (1ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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Cine2  ISO 200 (2ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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Cine2  ISO 400 (3ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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Cine2 ISO 800 (4ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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Cine2 ISO 1,000 (4ストップ分上げた状態の次のISO)でのノイズレベル

実験:ピクチャープロファイル OFF クリエイティブルック スタンダード

この実験では編集ソフトでのノイズ増感を更に増やす試みが行われています。露出を7ストップ分引き上げ、シャドー部分を150%持ち上げています。

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ピクチャープロファイルOFF、スタンダードルックでの実験です

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ピクチャープロファイルOFFでの Base ISO 80でのノイズレベル

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ピクチャープロファイルOFF  ISO 160 (1ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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ピクチャープロファイルOFF  ISO 320 (2ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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ピクチャープロファイルOFF  ISO 640 (3ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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ピクチャープロファイルOFF  ISO 1250 (4ストップ上げた状態)でのノイズレベル

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 ISO 1,600 (4ストップ分上げた状態の次のISO)でのノイズレベル

Philipさんの設定を活用しませんか?

このビデオの最後にPhilipさんが自分が考えうる限り、最も最適と思われるメニューのカスタマイズ(動画用)を公開しています。(youtubeの動画ページに飛んで、詳細欄にリンクがあるので、そこからダウンロードできます)

かなり、詳細なカテゴリ分けがされてますので、是非、活用しませんか? Philipさんは英語で作ってますが、おそらく、日本語でもいけると信じています。(ダメならしょうがないですね)

 

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My Menu1はフレームレート、コーデック、S&Qモード等の設定が可能

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My Menu2はピクチャープロファイルとゼブラ、ホワイトバランス等の設定が可能

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My Menu4はオートフォーカスの追い込みに必要な全ての設定が可能

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My Menu4はオーディオ関連の設定を詰め込んでます

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My Menu5は外部出力時の設定を詰め込んでます

何故か、欧米の方が先に出荷されるα7S IIIですが、Philipさんのように自分が発見した知識をみんなで分かち合うという意識はとても素晴らしいことだと思います。

日本のユーザーにα7S IIIが届くまで、まだ少し時間がありますが、このような知識の共有がある限り、私たちも製品が届き次第、ロケットスタートでカメラの追い込みができるということですね。

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