前の記事ではCinema5DがEOS R5/R6を辛辣に酷評しているという事をお伝えしました。(何故かこの記事は日本語には翻訳されてません。大人の事情でしょうか)
さて、Cinema5Dを目の敵にしているEOSHDのアンドリューさんはさらに過激な提案をしています。 記事の中のいくつかのポイントを抜粋してお伝えしますね。
目次
- マーケティングの言ってることは嘘
- 他の製品を例にとって比較してみる
- 商品の謳い文句を公式ウェブサイトから検証
- 商品のスペックが実際の商品の性能とあまりにもかけ離れていることが問題である
- 編集環境の構築に関して
マーケティングの言ってることは嘘
キャノンはEOS R5とR6をマーケティング上ではプロフェッショナルが映像を作る上で信頼のおけるカメラだと謳っている。
ただし、たくさんの実機テストが証明しているように、悪夢のようなオーバーヒートの問題は4K/24P(ハイクオリティモード)でのちょっとした短いクリップを録画しているだけでも起こり得る問題だということが明らかになっている。ここまで信頼性がないと、ギャラの発生するプロの現場でこのカメラを使うということは完全なギャンブルと言わざる得ない。
下位機種の20メガピクセル搭載のEOS R6に関しても全く同じことが言える。このカメラを使用して4K/24Pで撮影した場合でも短いクリップを撮っているだけでもオーバーヒートは簡単に発生している。
ちなみに少し話はずれますが、メーカーからスポンサー料を一切もらわず実直なレビューをすることで有名なトニーさんはR5とR6、(そしてX-t4)のオーバーヒートの仕方に完全に腹を立てています。(下の動画がトニーさんの動画)
さて、EOSHDの話に戻しましょう。アンドリューさんは続けます。
このオーバーヒートの問題に対して、キャノンは※フルプロダクト・リコールをしなければいけない事態になってもおかしくない。R5とR6の商品としての信頼性はその他の消費者向け商品のスタンダードと照らし合わせても、かなり低いと言える。
リコールとは、設計・製造上の過誤などにより製品に欠陥があることが判明した場合に、法令の規定または製造者・販売者の判断で、無償修理・交換・返金・回収などの措置を行うことである。 法令に基づくリコールと、製造者・販売者による自主的なリコールとに大別される。(Wikipediaから)
他の製品を例にとって比較してみる
例をとって見てみよう。
アップルが10万円のiPhoneをハイエンドユーザー向けにリリースしたとして、もしそのiPhoneが1日に何度もプロセッサーのオーバーヒートの問題でちょくちょくシャットダウンしてしまうとしたらそれはリコール対象となり得る。
トヨタが高出力エンジン搭載の車を販売したとして、そのエンジンが時速150kmでオートバーンを走行中、20分に一回エンストを起こしたら、その車は販売ディーラーの元に戻されることだろう。
でも何故か、カメラメーカー達は(Canonだけだが)商品の信頼性が誇大広告によって歪められ、インフルエンサー達の懐疑的な高評価によってたくさんの予約が殺到していても、それでよしという、何か仮想現実的なリアリティを作り出し、存在しているように見える。
商品の謳い文句を公式ウェブサイトから検証
アンドリューさんはEOS R5がスペックに違わぬ実力だった場合は世界の誰よりも先に購入したかったし、期待も人並みならぬものがあったと述べています。(サイトの名前を見ても明らかですね)そして、キャノンのオフィシャルサイトからR5の宣伝文句を引っ張り出し、それらが間違っている事を検証していきます。
- “The EOS R5 uncompromising performance will revolutionise your photography and filmmaking” (Canon UK) EOS R5は妥協なきパフォーマンスを持ち、写真だけではなく映像制作に於いて革命をもたらすだろう (Canon イギリス)
- “The EOS R5 camera proves to be a reliable partner in virtually any climate” (Canon USA) EOS R5はどのような天候下でもあなたの信頼に値するパートナーになる事を証明するだろう (Canon USA)
- “Whatever you shoot, however you shoot it, the EOS R5 will let you be creative in ways you simply couldn’t before” (Canon UK) 被写体がなんであれ、どのような撮影スタイルであれ、EOS R5はあなたのクリエイティビティを今までにないレベルに昇華させてくれるだろう (Canon イギリス)
- “Ground-breaking video performance” (Canon UK) 大地を揺るがすようなビデオキャプチャ パフォーマンス(Canon イギリス)
商品のスペックが実際の商品の性能とあまりにもかけ離れていることが問題である
実際に僕が改めて調べたところ、キャノンはオーバーヒートの問題を公式に認めてはいるものの、公式ページの仕様のページではオーバーヒートに関して一切触れていません。
さらに下の動画では最後に7秒間だけ、(まるで携帯電話の契約書やクレジットカードの備考欄のように小さな文字で)オーバーヒートの記載が表示されますが、果たしてこれを見た人の何人がその内容に気づいた事でしょう。
正直なところ、キャノンは最初からクーリングシステムに関しては何の工夫も施さなかった事を明らかにしている。オーバーヒートに関して施したことは(これはほぼどのカメラにも搭載されている機能ではあるが)マグネシウムアロイのボディであり、ボディ内の熱が高くなった時にシャットダウンするようファームウェアにプログラミングしたことだけである。
通常、CPUやセンサーが熱する機構の電化製品には例外なくコッパー(銅)の使用、ヒートパイプなどが標準仕様として使われる。(スマートフォンでもそのような機構を採用している) しかしキャノンは堂々と何の工夫も施さなかった。
私の結論はこうだ。 キャノンはこれらのプロダクトに放熱機構を持たせない事を最初から計画していたのだ。 キャノンとしては、動画撮影に関してはフィルムメーカーやビデオグラファー達にCinema EOSのプロダクトラインを使って欲しいのだ。
さて、アンドリューさんのR5への非難は延々と続きますが、何となくポイントは理解していただけたと思いますのでここまでで切り上げることとします。
編集環境の構築に関して
全く関係ないのですが、YoutuberのMax Yuryevさんの動画でEOS R5の動画がどれだけ編集しづらいかというのをハイスペックコンピューターを使ったテストで実験しています。(この動画は一番下に配置してます。スクロールして見てください)
実験したコンピューターは全て40万円を超えるコンピューターでもちろん160万円強のMac Proも実験に登場します。
MaxにスペックアウトしたRazor Bladeでのテストでは(動画開始から)プレミアプロで4K120フレームは編集不可能(再生不可能)でした。ここでは解像度を720まで下げても、スムーズな再生が不可能だった事を伝えています。8K RAWファイルはコマ落ちがひどく、こちらもほとんど編集不可能でした。ダビンチリゾルブでのテストではファイルが認識される時とそうでない時があり、認識されても酷いコマ落ちでの再生しかできない模様です。
同じくスペックアウトしたMacBook Pro 16インチでのテストは4:55秒あたりからで、最初の方はPremiere Proで4K/120Pあるいは4K/60Pをスムーズに再生しますが途中からコマ落ちが発生します。ハーフの解像度(1080P)で再生した場合も特に変化なく、圧縮比率なのか、圧縮効率なのかわかりませんが、とりわけ他のフォーマットにエンコードして編集しないといけなさそうです。8Kの素材に関しては解像度を1/4に落とした場合は幾分かスムーズに再生し編集可能なようでした。
ダビンチの場合(7:00秒あたりから)も結果はほとんど変わりなくむしろ悪かった印象です。CPUは99パーセントを活用していてコマ落ちが頻繁に発生していました。8K RAW(7:35秒あたりから)は4Kタイムラインで比較的スムーズに再生できているようです。8Kタイムラインではやはりコマ落ちが生じています。
ファイナルカットの場合(8:17秒あたりから)は全ての解像度でコマ落ち発生しています。ただし、8K RAWの場合は再生パフォーマンス設定を変更するとしっかりと再生しています。
Mac Proの結果は(10:23秒あたりから)ご自身でご覧ください。こちらの結論を簡単に申し上げるとMac Proでギリギリで圧縮された4K/120Pや8K RAWが編集可能なようです。
結論:EOS R5で動画を撮影すると、編集用に160万円のMac Pro(あるいは同スペックのハッキントッシュ)が必要になるみたいです。