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近未来のフィルムセット ディズニーが「THE MANDALORIAN」でTV撮影セットに革命を起こす! マンダロリアン 舞台裏 

 

昨今、海外のTVドラマのクオリティがものすごい勢いで向上しています。

海外のTVドラマは日本のドラマと比べると元々クオリティは高かったのですが、最近はNetflixHulu,Amazon Primeなど乱立するサブスクリクションサービスがオリジナルのドラマを制作することによって自社のコンテンツをよりオリジナルに、そして高品質にしようと競い合っているのです。

マンダロリアンの撮影に用いられた画期的な撮影方法はこれまで常識であったグリーンバックでの合成撮影とは一味違う、効果的な撮影手法になり得る。

新規参入組のディズニーデラックスでも自社の独占配信という形でスターウォーズのスピンオフシリーズを配信しています。 もうご覧になった方も多いのではないでしょうか? 

今回はこのシリーズの製作に使われた画期的な撮影方法を少しだけ紹介します。(Redshark

の記事をメインに他の記事と併せて情報を記しています)

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ディズニーのTV版 Star Wars スピンオフ THE MANDALORIAN

リアープロジェクション合成の時代

マンダロリアンシリーズで導入された撮影手法は実は昔懐かしいリアープロジェクションの手法を改新したものであると言える。 リアープロジェクションとは1930年代以降にハリウッドで用いられた手法で演技をする俳優の背景をプロジェクターから映写したスクリーンで合成するものである。車を運転しているシーンで背景に流れる風景に用いられることが多い。

 

上の動画で見られるように、アルフレッドヒッチコックはこの手法を多用して、様々なサスペンスを作り出した。また、スタンリーキューブリック2001年宇宙の旅でフロントプロジェクションとして応用している。 

グリーンスクリーンによるクロマキー撮影・合成

そして、技術の進化と共にグリーンスクリーン合成が用いられるようになった。

背景の色をグリーン、(あるいはブルー)にする事で、編集時にその色の色素だけをくり抜く手法である。グリーンは人間のスキントーンとは全く真逆の色素なので登場人物に影響を与える事なく背景をくり抜くことができる。

 

ただし、この手法は監督や役者、あるいはプロデューサー、クライアントに至るまで、実際のシーンを想像しながら撮影しなければいけなく、敬遠されることも少なくない。また、編集時の労力がかかるため、撮影から編集まで含めて時間のかかる作業となる。

そして革命起こる バーチャルプロダクションテクニックの到来

Disny FilmのLion KingとJungle BookでVFXに革命をもたらしたジョン ファヴェロがエクゼクティブプロデューサーをつとめ、台本も書いたマンダロリアンシリーズの撮影時には革命的ともいえるバーチャルプロダクションテクニックが用いられた。

 

今ではDisneyのVFXスタジオとなったILMにて画期的な手法は用いられたわけだが、そこには巨額の資金が投じられた。1億ドルの巨額が投じられた理由は明らかである。

  1. これはスターウォーズシリーズなのだ
  2. しかもDisney+の看板番組になる必要がある

何が何でも成功させるためには(今までのスターウォーズシリーズとは違い)どでかいセットをたくさん作るのではなく、リアープロジェクション方式の巨大LEDスクリーンを並べることでCGIで作られた背景をリアルタイムで映し出すことにしたのだ。

この方式を採用することにより、いくつかの革命的なコントロールが可能になった。

 バーチャルセットでカメラに動きを加えた場合、コンピュータがその動きを感知して計算しながら背景画面を立体的に動かせるため、よりリアルな合成に仕上げることができる

この処理は超高速なコンピューターによる3D演算処理が必要となり、一昔前では不可能なことであった。ちなみに、使われているのはUnreal Engineというゲーム用エンジンであり、Lion Kingのデジタルセットでも使われたシステムである。

 

この撮影方法で最も恩恵を受けたのは役者たちである。なぜなら、演技に集中するために必要な環境がビジュアルで確認できるのだから(例えば、地平線がどこにあるのか等)。 

またLEDスクリーンから漏れてくる光はうまい具合に環境光として役者や小道具を照らし、シーンをよりリアルなものにする。もちろん、グリーンスクリーン撮影ではないので、編集時に大変な労力を使う必要もない。

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このシステムはレンズの焦点距離を計算に入れてボケ具合も調整でき、スタジオ照明はLEDスクリーンに映し出される映像に合わせて、光量、光温度、光質をインタラクティブに調整できるという。

未来の撮影手法はこれからどんな風に進化していくのか、まだまだ目が離せない。 そう思いませんか?