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目次
- 1) α7S IIIでプロキシファイルを撮影をする場合に60フレーム/秒以上のフレームレートでの記録はできない。 (つまり100フレーム/秒や120フレーム/秒での記録時にはプロキシ撮影は対応していない)
- 2) プロキシ記録した場合、オリジナルの(高画質の)ファイルとの整合性を取るために2つの点に気をつけなければならない。
- まとめ
α7S IIIの素晴らしい特徴の一つとして、高画質でカラーグレーディング耐性の高い4K 10ビット 4:2:2での撮影が可能なことが挙げられると思います。そして最大120フレーム/秒で撮影しても画面がクロップされることもなく、撮影ファイルのサイズもXAVC-HSで撮影した場合はかなり小さなファイルにまとめられます。
一方、撮影されたファイルの特徴として、ALL-Iのコーデックで撮影しなかった場合、XAVC-SやXAVC-HSのファイルは決して編集時にコンピューターが扱いやすいファイルでなく、(M1チップ搭載のMacは例外として)かなりハイスペックな映像編集専用コンピューターを使用しても再生すらままならないケースが多いというのが現状です。 そこで、大部分の人は編集に最適化されたファイル(例:ProResへのエンコード)、あるいは画質や解像度の少し落ちるプロキシファイルを使って編集することになります。
このようなワークフローはPremiere ProやFinal Cut Pro、Davinci Resolveなど主要な編集プラットフォームで採用しているものですが、撮影終了後に編集に適したファイルを生成しなければいけないため、手間と時間がかかってしまいます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、α7S IIIはSDカードを二枚挿入できるデュアル カード スロットを装備しており、、高画質のファイルを1枚のSDカードに、そしてプロキシファイルをもう1枚のSDカードに記録することできます。つまり撮影終了後、コンピュータがプロキシファイルを生成する手間を省き、快適な編集を直ぐに始めることが可能なのです。
Ripple Trainingのマーク スペンサーさんが公開した動画(ページ上に配置)はα7S IIIにてプロキシファイルを録画する場合に必ず知っておいた方が良い点をいくつか紹介していますので、シェアしたいと思います。
動画の中で紹介されるケースではα7S IIIでプロキシを撮影し、Final CUt Proで編集した場合の例を紹介していますが、他のケース、例えば
- α7S IIIでプロキシ撮影し、Premiere ProやDaVinci Resolveで編集する場合
- プロキシ撮影のできる違うカメラで撮影し、Final Cut Proで編集する場合
の場合にも応用可能な知識となっていますので、ご興味おありの方は、一読されてください。
1) α7S IIIでプロキシファイルを撮影をする場合に60フレーム/秒以上のフレームレートでの記録はできない。 (つまり100フレーム/秒や120フレーム/秒での記録時にはプロキシ撮影は対応していない)
120Pで撮影したファイルに関しては、素直に編集プログラムを使ってプロキシを生成するしかないようです。
2) プロキシ記録した場合、オリジナルの(高画質の)ファイルとの整合性を取るために2つの点に気をつけなければならない。
プロキシファイルを使って編集する場合に、編集完了時には高画質のファイルと置き換えることになります。 ただし、そのためにはオリジナルのファイルとプロキシファイルのデータがしっかりと一致している必要があります。(主にファイル名と映像のタイムコードの一致が必要となる)
α7S IIIで撮影したオリジナルのファイルには各々XMLファイルが付属しており、撮影したカードから直接、映像ファイルを読み込んだ場合、XMLファイルに記録されているメタデータが一緒に読み込まれます。 その時にタイムコードをFinal Cut Proが認識し、オリジナルファイルのタイムコードとして紐付けします。 しかし、ここで問題になってくるのは、プロキシファイルにはXMLファイルが添付されていないということです。(プロキシファイルのタイムコードは読み込み時にゼロから始まるように設定されます)
この結果、プロキシとして記録されたファイルで編集して、後ほどオリジナルファイルと置き換えようとするとタイムコードに矛盾が生じて、しっかりとファイルの置き換えができなくなります。
この問題を解消するには、SDカードに記録されたオリジナルファイルとプロキシファイルを他の場所(例えばデスクトップや外付けハードディスク)にコピーした後に編集ソフトで読み込む必要があります。 ここで重要なのは、オリジナルファイルに付属するXMLファイルはコピーしないこと、です。
さて、先ほど、オリジナルファイルとプロキシファイルの整合性を取るためには、ファイル名とタイムコードが一致する必要があるとお伝えしましたが、実はα7S IIIで記録したプロキシファイルはファイル名がオリジナルファイルと違います。
この結果、プロキシとして記録されたファイルで編集して、後ほどオリジナルファイルと置き換えようとすると今度はファイル名に矛盾が生じて、しっかりとファイルの置き換えができなくなります。
この問題の解消はMacの場合、とても簡単です。(Windowsでもおそらく簡単でしょう)
- プロキシファイルを全て選択した後、Finderメニューの<ファイル>から<名前を変更>を選択
- <テキストを置き換える>が選択されていることを確認し、<検索文字列>にプロキシファイルにはあって、オリジナルファイルにはない文字列を入力 (動画の例ではS03)
- <置換文字列>には何も入力しない
- <名前を変更>を選択して完了
添付した動画の中では、この作業を終えた後に、FINAL CUT PROにてどのようにプロキシファイルとオリジナルファイルの切り替えをするのかが、詳細に説明されていますが、今回はその部分の説明は省きます。 今後 FINAL CUT PROだけにとどまらず、Premiere ProやDaVinci Resolveでも度々直面することが予想される「メディアのオフライン」問題に関しては今後また改めて記事にしたいと思います。
ここで、この記事のおさらいをまとめます。
まとめ
- α7S III(や他の最新のカメラ)の高画質のファイルは動画編集プログラムで再生できないくらい、圧縮されていることがある
- 上記のように再生が難しい場合、より画質が粗く、解像度の低いプロキシファイルを利用した編集プロセスを踏むことが想定される
- プロキシファイルの生成は時間がかかる(撮影後、すぐに編集に取りかかれないことがある)
- α7S III (や他の最新のカメラ)はデュアルカードスロットに最初からプロキシファイルを記録する機能を持っている
- カメラ内でプロキシファイルを記録した場合、プロキシファイルとオリジナルファイルのデータの整合性が取れないと、ファイルの置き換えができない (すなわち、プロキシファイルで編集する意味がなくなる)
- α7S IIIで記録したプロキシファイルはオリジナルファイルに比べて、大きく二つの部分で整合性に欠けている
- 一つ目、メタデータが一緒に読み込まれた場合はタイムコードの整合性が合わなくなる
- 二つ目、プロキシファイルはオリジナルファイルよりもファイル名が長い
- この二つの部分で整合性が取れた場合、編集ソフトはプロキシファイルとオリジナルファイルをスムーズに切り替えることが可能になる(プロキシファイルで編集する意味が生まれる)
- 60P以上のフレームレート、100Pや120Pではプロキシ記録はできない